森木花ちゃんに心臓移植を 米国渡航へ募金活動 南島原出身の父、救う会

森木花ちゃんが米国で心臓移植を受けるため、記者会見し募金への協力を呼び掛ける父賢吾さん(右)と母理恵子さん(中央)=28日午後、神奈川県庁

 重い心臓病を患い入院生活を続ける3歳4カ月の森木花(きか)ちゃん=神奈川県葉山町=に米国で心臓移植を受けさせるため、両親と友人らが必要な医療費や渡航費など計3億5千万円を目標に募金活動を始めた。木花ちゃんの父親で長崎県南島原市西有家町出身の森賢吾さん(41)は「たわいもない日常をもう一度、家族4人で過ごしたい。皆さんの力で、木花の命をつないでいただきたい」と協力を訴えている。
 木花ちゃんは2人兄妹。活発で毎日のように兄と近くの海で遊ぶ元気な女の子だった。一変したのは1歳4カ月のとき。嘔吐(おうと)などが続いて入院。心臓の働きが悪くなり、心不全を起こす「拡張型心筋症」と診断された。
 内科的治療を続けたが改善せず、昨年3月、国立成育医療研究センター(東京)に転院。血液の循環を手助けする体外設置式補助人工心臓(VAD)をつけ、日本臓器移植ネットワークに移植希望登録をした。

手術で体外設置式補助人工心臓をつけた木花ちゃん(きかちゃんを救う会提供)

 賢吾さんらによると、移植を待つ同世代の子どもたちは約50人いるが、国内はドナーが非常に少ない。いつまで待てばいいのか分からない中、昨年11月に心不全が悪化した。補助人工心臓は心臓につけた2本の管を腹部を貫通させて体外のポンプにつなぐため、感染症や脳梗塞などのリスクが付きまとう。「このままなら1年もつか分からない」。3歳の誕生日を迎えた今年2月、両親は国内より可能性が高まる米国での心臓移植を決意。友人らが「きかちゃんを救う会」を発足させ、2億5千万円の保証金や専用機のチャーター費など高額費用を賄う募金活動を始めた。
 大好きな兄とほとんど会えないまま、入院生活は2年に及ぶ。24時間看護が必要で両親が交代で泊まり込む。院内を散歩したり、ままごとをしたりして過ごすが、高熱が出てベッドから出られない日もある。それでも、小さな体で難病に立ち向かい、笑顔を見せてくれる娘の姿に、両親は「必ず助ける」と誓っている。
 両親や救う会のメンバーらは28日、神奈川県庁で記者会見。米国コロンビア大学病院から受け入れの内諾は得ており、前島麻子代表は「1日でも早い移植実現のため、ご支援とご協力を」と呼び掛けた。
 募金は十八親和銀行南島原支店(普通3050416の口座名「キカチャンヲスクウカイ」)への振り込みや、救う会の公式サイト、クラウドファンディングなどで受け付ける。賢吾さんの知人らが南島原市内でも募金活動をする予定。

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