創成館高の人工芝 人や環境に優しい素材 地域行事に貸し出す方針

人工芝化した中庭に座って談笑する奥田校長(左)と濱口社長=創成館高

 長崎県にある創成館高の人工芝化を手掛けるのは、福岡県宗像市のベンチャー企業「COOOL(クール)」。同社の製品は充塡(じゅうてん)材に100%天然素材を使用しており、芝の表面温度が熱くなりにくい点が最大の特長。プロサッカー選手、アンドレス・イニエスタも自宅バルコニー練習場に使用している。
 競技用人工芝は従来、芝が倒れないように目土として合成ゴムチップをちりばめていたが、同社は有明高専(福岡)と共同開発した「寒土」という砂で代用している。ココナツの樹皮や石灰岩などを細かく砕いて混ぜ合わせたもので、冷却機能、グリップ力に優れている。さらに一部で指摘されているゴムチップの発がん性リスクをクリア。周辺の河川などに化学合成物質が流れる心配もなく、環境配慮に優れた点が学校側に高く評価された。
 創成館高は新しいグラウンドの安全性や快適さをアピールすると同時に、要望があれば幼稚園の運動会、障害者や高齢者のスポーツ大会などの地域イベントに積極的に貸し出したい考え。災害時の避難場所としての活用も視野に入れている。奥田校長は「地域活性化や社会貢献の意味でも広く多くの人に使っていただきたい。サッカーの面でも長崎県全体、ひいては九州の子どもたちが集う場になってほしい」と願っている。
 同社は2019年設立で、大規模なスポーツ施設の整備は今回が初めて。幼少期から中学時代まで長崎県内で過ごした濱口光一郎社長(44)は「思い入れがある仕事をできて感慨深い。人工芝のメリットは多い。今回で成功例をつくって、長崎の学校にどんどん広がってくれたらうれしい」と期待している。創成館高とはパートナーシップ契約を結び、売り上げの一部を還元していく。


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