【RIZIN】脱・UFC二軍!榊原CEOが明かす世界戦略 夏に「配信特化イベント」開催へ

榊原氏(左)は4月に、フロイド・メイウェザー(右)の自宅でUFCのダナ・ホワイト代表と対面した(榊原氏のツイッターから)

格闘技イベント「RIZIN」が新たな試みに挑戦だ。賛否両論を呼んだ13日東京ドームと27日大阪の2大会を終えた榊原信行CEO(57)が本紙の取材に応じ、今夏からの展望を明かした。世界最大の格闘技団体、米「UFC」など海外団体の育成機関となりつつある現状からの脱却を狙い、対世界を意識した新機軸を打ち出す。

6月の2大会は話題豊富だった。東京ドーム大会では“最強兄弟の兄”朝倉未来(28)がクレベル・コイケ(31=ブラジル)に失神負け。大阪大会では“キック界のドン・ファン”こと皇治(32)が反則行為のバッティング(頭突き)を3度も繰り出し、選手やファンを巻き込んでの大論争が起こった。

しかし、その裏で深刻な事態も起きている。かつてRIZIN女子の主力だった村田夏南子(27)が19日の「UFC」ラスベガス大会に、渡辺華奈(32)が25日の米「ベラトール」アンカスビル大会に出場。戦力流出に歯止めがかかっていない現状があらわになった。

榊原CEOは「今のRIZINは、UFCからするとサテライト(二軍)なんです。ユース組織。RIZINで育成してもらった選手をいいところで(持っていく)。UFCにしてみれば『マネル・ケイプも村田夏南子も来てくれた』というところですよ」と認める。

その上で「この後『(未来と海の)朝倉兄弟も来た。(トフィック)ムサエフも来た』とかなったら、ばからしいじゃないですか。そうならないようにするには、僕らがステータスを上げるしかない。UFCをやめてでも挑みたいと思える魅力や環境をつくり出すしかないんですよ。世界のマーケットにリーチしていけるようにならないと。それが選手たちのモチベーションにもなるだろうし、大きくしていくことがファイトマネーにも直結しますから」と力を込めた。

大阪大会直後に榊原氏が「7月末から8月の間に何か新しいことをやりたい」とほのめかしたものは「配信特化イベント」のことで、これも世界の市場を意識したものだという。

「コロナとか五輪とか、いろんなものに左右されずにスケジュールを確実にこなせる新規ブランドを立ち上げようと。『スタジオRIZIN』じゃないけど、配信ベースの無観客とか、入れても100人程度とかで。そこでリーグ戦のような続けて見る必要性を共有できるものをやりたいと思っています。ワンマッチやトーナメントだけじゃない楽しみ方を提案できればと思います。もちろん、配信ということで『対世界』をにらみながらになります」

コロナ禍や東京五輪の延期に振り回され、何度も大会の“リスケ”を余儀なくされたことがきっかけだが、配信に特化することで海外ファンを意識したイベントもつくりやすくなる。他にもさまざまな仕掛けを用意している様子で、恒例の年末決戦に向けてますます話題を呼びそうだ。

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