【新型コロナ】丸川五輪相、ボランティアへの接種完了遅れの指摘に「1回目で免疫を」

 丸川珠代五輪担当大臣が29日の定例会見で、大会ボランティア約7万人へのワクチン接種の2回目が開幕に間に合わないことについて聞かれ「まずは1回目で免疫をつけていただきたい」と発言した。1回の接種だけでは、十分な免疫力が発現しないことはこれまでの研究で明らかになっており、担当大臣のこうした知識不足ともとれる発言は波紋を呼びそうだ。

「まずは1回目で免疫をつけて」

 丸川大臣はこの日の定例会見で、26日に組織委員会が発表した大会ボランティア約7万人に対する新型コロナワクチン接種の案内、スケジュールについて見解を聞かれた。組織委員会の発表した接種スケジュールは、接種1回目が今月30日から、2回目は7月23日のオリンピック開幕後の31日からとなっている。

 一般にワクチン接種による免疫力の発現は、2回目の接種後1週間程度してから高まることが研究で明らかになっていることから、オリンピックの開幕後に2回目を行うスケジュールでは、接種したボランティアが従事中に免疫を獲得することは極めて考えにくい情勢だ。このことは発表直後から各方面より指摘されている。

 会見ではこのことを踏まえ質問が出たとみられるが、丸川大臣は「そもそもワクチン接種を前提とせずに大会準備を進めている。より安心な大会のための接種体制」と答えたうえで、選手と接するエリアで従事するボランティアにはすでに接種が始まっていると指摘。選手に対する安全には問題ないとの認識を示した。

 さらに「まずは1回目で1次的な免疫をつけていただきたい。(8月24日開幕の)パラリンピックのボランティアもいる。どの時期に活動するかも見ていただきつつ、組織委員会には頑張っていただきたい」と、一律に見るのではなく、ボランティアの従事するエリア、大会に合わせて細やかな対応をするよう組織委員会に求めた。

 選手を接遇するボランティアは早めに接種しているので問題ない、また1回目で免疫を獲得できるかのような発言は、現在有観客での開催を模索し、2回の接種後でないと免疫力が高まらないことが事実としてある中では、誤解と不見識に基づいた不適切な発言だと言われても仕方なく批判を浴びそうだ。

(画像出典:首相官邸ホームページより)

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