都議選2021の投票前に知っておきたい!東京都政のこれからに関する5個の数字

7月4日に投開票を迎える東京都議会議員選挙では127議席を巡る選挙戦が展開されています。

目前に迫った東京オリンピック・パラリンピックや新型コロナウイルスをめぐる報道を見て、都政に興味を持たれた方もいるのではないでしょうか。若者世代の投票参加を後押しすべく、東京都政において若者とかかわりのある5個の数字を紹介します。

「1,384万人」→東京都の人口。2000年代に入ってから名古屋市に相当する人口が増加

東京都の人口は約1,384万人(2021年1月)です。

2000年の人口は約1,169万人でしたので、この20年ほどでおよそ215万人増加したことになります。なお、この人数は政令指定都市の中で3番目に人口の多い名古屋市(233万人)に迫る規模となっています。

人口の増加が続く東京都でも少子高齢化は着実に進んでいます。東京都に暮らす人の中で14歳以下の子どもが占める割合は2000年には11.78%、65歳以上の方が占める割合は15.84%でしたが、2020年には14歳以下11.59%、65歳以上22.57%となり、国立社会保障・人口問題研究所による推計では2040年には14歳以下10.4%、65歳以上29.0%になるとされています。

少子高齢化の進行に伴って働き手世代の減少が進む中で期待されるのが女性の活躍です。「保育所待機児童問題」などが都政の課題として認識されてからかなりの期間が経ちますが、この4年間で状況は変わっているのでしょうか。

「2,343人」→保育所待機児童は減少も、東京都が全国の2割を占めている

厚生労働省によれば2020年4月に保育所待機児童として報告された児童数は東京都で2,343人でした。全国では12,439人の保育所待機児童が報告されていますので、保育所待機児童のおよそ2割が東京都で生じていることがわかります。

なお、2016年4月に東京都で報告された保育所待機児童数は8,466人でしたので、東京都がこの4年間で保育所待機児童を減少させていることが確認できます。また、東京都の資料ではこの4年間で認可保育所を983か所増やし、定員を7.3万人ほど増やしていることも確認できます。

一方で、東京都の年齢別人口(日本人)を比較してみると、0歳から5歳までの子ども数は2017年(1月)64万人であるのに対して2021年(1月)61.9万人と2.1万人減少しています。また、先ほどの保育所待機児童の集計には、「きょうだいで同じ施設の利用を希望したがかなわなかったために保育施設を利用していない」などの「隠れ待機児童」とされる子どものことは集計されていません。

ほかにも、「小1の壁」として注目された保育所待機児童の多くが小学校進学後に使用することになる学童保育(放課後児童クラブ)での待機児童も3,417人(2016年)→3,262人(2020年)と変わらない規模で生じていることが厚生労働省の調査で報告されています。

東京都における子育て支援をめぐる状況は、「待機児童問題」1つを取り上げてみても着目する観点によって評価が異なることになりそうです。選挙戦では、各候補者、政党がどのような評価をし、政策提言をしていくのかが注目されます。

「581.3床」→人口10万人当たりの一般病床数は全国で6番目に少ない

新型コロナウイルスへの対策をめぐっては、医師数や病床数などの医療資源への注目が高まりました。また、今後高齢化が進んでいくことも医療資源の必要性を高めています。

東京都の医療資源について、人口10万人当たりの数を全国と比較してみます。

医療施設に従事する医師数は307.5人で全国で5番目に多い水準になっています。一方、病床数(一般病床)は581.3床と全国で6番目に少なくなっています。また医師と共に医療行為を行う看護師は792.3人で5番目に少なく、准看護師は90.9人で最も少なくなっています。

図表1_人口10万人当たりの医療資源

新型コロナウイルスの対策を考える際、感染者数に加えて対応する病床の使用状況などが勘案されていたことも記憶に新しいところです。

目前に迫った東京オリンピック・パラリンピックや、今後の少子高齢化の進行を見据えて、今ある医療資源をどのように活用し、また将来に向けた備えをしていくのかなど、安心安全な生活環境を作っていくための各候補者の考えが注目されます。

「1兆4,388億円」→東京都の税収に占める法人二税の金額

都民経済計算年報によると、東京都の名目GDPは107兆円(2018年)、全国の19.5%にあたるなど東京都の経済活動が日本経済をけん引しています。

では、現在の都議会議員の任期中の取り組みはどのような成果を上げているのでしょうか。

東京都の予算に占める法人二税の推移を比較してみると、2017年度予算では1兆7,538億円であったものが、企業収益の堅調な推移を受けて2019年度には2兆578億円まで上昇していました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う企業収益悪化の影響を受けて、2021年度予算では1兆4,388億円まで減少しています。なお、法人二税については税制改正の影響を受けて2020年度から国税となる部分が増えていますので、その分を勘案すると2021年度は1兆8,311億円相当となります。

東京オリンピック・パラリンピックのあとも東京都が継続して発展していくための財源を得ていくためにも、2019年度と比較をしたときに減少した2200億円余りの税収をどう補っていくのかが注目されます。

「15.7%」→有権者の中で10代・20代有権者が占める割合。60代や70代よりも若者世代の有権者数の方が多い

若者世代の投票環境について考えた際に取り上げられるキーワードに、有権者人口に占める高齢者の割合が増加し、高齢者層の影響力が強まる「シルバーデモクラシー」があります。

2021年1月の東京都の年齢別人口を基に推計した年代別有権者数では、10代、20代の有権者数は約179万人となり、全有権者のうちの15.7%を占めています。一方で、60代有権者数は約135万人で全有権者の11.8%、70代有権者は142万人で12.4%となっています。

数字だけを見ると、東京都に暮らす若者は「シルバーデモクラシー」が想定する「若者世代が高齢者層よりも少なく政治的影響力を発揮できない」状況にあるわけではないことがわかります。

図表2_年齢別推定有権者数

一方で、若い世代ほど投票に参加していないことも事実として示されています。

2017年の都議会議員選挙の投票結果を基に計算してみると、有権者数では10代・20代の人数が60代よりも多くなっていますが、投票者数では10代・20代は60代の半分ほどになっています。

他の年代に比べて若者世代が投票に参加しない結果、東京都では年齢が高い層の政治的影響力が高まりやすくなっているというのが実情です。

「忙しい中でせっかく投票しても、結局人数の多いお年寄りの方の意見が通ってしまうんでしょ。だったら投票しない」

もし、この記事を読んでくださった方の周りでそうして投票を棄権しようとしている人がいたら、ぜひ声をかけて、一緒に投票所に足を運んでみてください。

前回の都議会議員選挙では、当選した127人のうち54人、43%が新人候補者でした。また、前々回やその前はそれぞれ34人、26.8%が新人候補者と、東京都議会議員選挙は毎回多くの新人候補者が当選し、東京都の行方を大きく変えていく可能性のある選挙になっています。

東京オリンピック・パラリンピックや新型コロナウイルス感染症は私たちの暮らしや人々の関係性に大きな変化を及ぼそうとしています。

そのような中だからこそ、今後、他のどの世代の方よりも長く東京都とかかわりを持つことになる若者世代が東京都の未来を「自分ごと」として考え、納得のいく1票を投じていくことが期待されます。

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