【高齢者の運転免許証返納問題で意識調査発表】シニアドライバーの9割は「周囲から返納を勧められていない」

高齢者(当時87歳)の運転する車で11人が死傷した「池袋暴走事故」の刑事裁判が連日報道され、高齢者の運転免許証返納問題などが改めて注目されています。

そんな中で今月、「高齢者の約9割は、周囲から返納を勧められていない」との調査結果が発表されました。

運転免許証の自主返納は周囲の後押しが一層必要であるとともに、高齢運転者の事故防止には社会全体で取り組まなければならないことなどが分かったのです。
詳細を見ていきましょう。

高齢運転者の事故防止は社会全体で取り組みを

この調査データは、産経新聞社が今年6月中旬、高齢者など2313人にインターネットで行った「高齢運転者に関する意識調査」。
次の2つの問題についてご紹介します。

➊テーマ『高齢者の運転免許証の返納状況は?』

【調査結果】65歳以上の免許保持者の約9割は「返納を勧められていない」

65歳以上を対象に、自動車の運転免許の保有状況を聞いたところ、7.4%の人が「持っていたが返納した」と答えました。

さらに、免許保持者に「現在、周りの人に運転免許証の返納を勧められていますか」と聞いたところ、89.4%の人が「勧められていない」と答えました。
(「勧められている人」は5.2%にとどまる)

➋テーマ『運転に不安がある人に返納を勧めている?』

【調査結果】周りで運転に不安がある人がいるのは約4割。しかし免許証の返納を勧めているのは14%のみ

「周りで自動車の運転に不安がある人」を挙げてもらったところ、「特にいない」が最も多く59.3%。

次いで「自分自身」(13.8%)、「配偶者・パートナー」(9.3%)、「父親」(7.9%)の順となりました。

続いて、「一番運転に不安があると思う人に、運転免許証の自主返納を勧めていますか」と聞いたところ、71.9%の人が「勧めていない」と答えました。

「現在、勧めている」と答えた人は合わせて14.0%足らず。
勧めているという人たちからも、こんな声が寄せられたのです。

「田舎で一人暮らしの母が、通院や買物ができなくなると不便だからと、なかなか返納してくれません」(58歳女性)
「87歳の母親が自分は絶対に事故を起こさないと言い張って、困っている。免許の試験場でそれとなく指導してほしい」(65歳男性)

高齢運転者の事故防止に向けた取り組みは、家族などの個人だけに依存せずに、社会全体で対策を考え、進めていく必要があるでしょう。

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本記事とグラフの出典:産経新聞社 公式サイト

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