全国ツアー中の竹内アンナ、東京公演のライブレポが到着!

流麗なメロディと滑らかな歌声、そして安定したバンドアンサンブル。確かなスキルに支えられながら、決して頭でっかちにならない熱いパフォーマンス。ライブの最初から最後に至るまで、「音楽と一体になって遊ぶ楽しさ」が溢れ出してくるかのような素晴らしいステージだった。

6月27日、LIQUIDROOM ebisuにて行なわれた『竹内アンナ BAND TOUR 2021 at TENDER』の東京公演。この日のライブは、彼女の音楽的なポテンシャルとフレッシュなキャラクターが存分に発揮されたものとなった。ソフトロック風のカラフルなイントロが印象的な「RIDE ON WEEKEND」で会場を一気に引き込んだかと思えば、ライブ中盤にはTLCやジャネット・ジャクソンのカバーも盛り込んだメドレーを披露。ジャンルも時代も横断してただただ心地よい音楽を届けようとする彼女のスタンスが、ライブの構成からも明確に伝わってくる。

竹内アンナが「ジャンルも時代も横断」した音楽を生み出すにあたって重要な役割を果たしているのが、パフォーマーとしてのフィジカルな魅力だろう。「20 -TWENTY-」での日本語と英語を自在に遊泳するフロウ、「I My Me Myself」における渋みのあるアコースティックギターのプレイ、さらにはギターを置いて情感のこもった歌い回しを見せる「If you and I were,」など、ステージに立つ竹内アンナには「音楽と戯れている」なんて表現がしっくりくる。1曲の中で歌の表情を巧みに変えながら曲のエモーションを強めていく「TOKYO NITE」のパフォーマンスからは、「表現力の高さ」という一言では語り尽くせないアーティストとしての分厚さを感じ取ることができた。

「好きなように、自由に楽しんでください」。MCでオーディエンスにこう語りかけていた彼女だが、「自由に作られていない音楽」を聴きながら「自由に楽しむ」ことは難しい。その点において、竹内アンナのライブは気兼ねなく「音楽を自由に楽しむ」ことができる空間になっている。その開放的なムードは、今後もっと多くの人々に求められていくのではないか。そんな余韻を残しながらこの日のステージは幕を閉じた。

なお、7月10日にはUMEDA CLUB QUATTROにて6月12日に実施予定だったライブの振替公演が行なわれる。この日のステージを経てさらにブラッシュアップされるであろうパフォーマンスを楽しみにしたい。(Text by レジー / Photo by Kazushi Hamano)

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