巨人と山口俊の復帰交渉ウラ舞台 格安年俸に込められた「甘くない」覚悟

野間に本塁打を浴びた山口はこの表情

〝格安〟契約は吉と出るか――。巨人・山口俊投手(33)が日本復帰2戦目となった6月30日の広島戦(東京ドーム)で、8回一死までノーヒット投球。ソロを被弾し、0―1で敗戦も手ごたえ十分だった。その山口は今季推定年俸3000万円プラス出来高の変動制2年契約を結んでいる。一見、お得な契約に隠された球団の思惑とは…。

まさかの一発だった。無安打のまま同点で迎えた8回一死走者なしで、山口の149キロ直球がプロ通算8本塁打の伏兵・野間にとらえられた。打球は無情にもG党で埋まる右翼スタンドに突き刺さった。山口は8回裏の打席で交代。G打線も一死一、二塁と好機を作ったが本塁が遠く、無念の零封負けを喫した。

自身2度目の快挙を逃しての今季初黒星に右腕は「カウント有利だったので、ボールでもいいぐらいな感じで投げられたらよかった」と被弾を振り返ると「ただ1点でもね、やっぱり負けは負けなんでね、またその辺を次は反省していきたいと思います」と気持ちを切り替えた。

8回114球1安打10奪三振の力投に原監督は「ねえ! 非常に球の走りも良かったしね。いいピッチング」と賛辞を送りつつ、投打がかみ合わなかった展開には「まあ、野球の難しさというところでしょうな」と振り返った。

連勝が8で止まった巨人は首位・阪神を3ゲーム差で追う。23日DeNA戦(富山)での復帰初白星に続く好投で、右腕のローテの柱としての見通しが立った。

SFジャイアンツ傘下3Aサクラメントを退団した山口は、巨人と変動制の2年契約を結んだ。今季推定年俸は3000万円プラス出来高と〝格安〟だが、チーム関係者は「契約にあたって山口サイドと『日本に復帰するのはそんなに甘くない。どのくらいの覚悟で戻ってくるのか』と十分に話し合ったそうです。山口が背水の覚悟を持って臨むために、1年目はかなり抑えた契約になったと聞いている」と明かす。

山口はポスティングシステムを使って2019年オフにブルージェイズと2年総額635万ドル(約6億9850万円)で契約。巨人には譲渡金として127万ドル(約1億4000万円)が支払われた。巨人からすれば山口に関しては〝黒字〟の状態だ。

来季の年俸が元のレベルまで跳ね上がるかどうかは、今季の成績が左右する。活躍の場を与えてくれた古巣への恩返しに加え、ハングリー精神も刺激されたのか、初戦は6回途中1失点、2戦目も8回1失点。入団時に右腕が強調した「結果」はここまではしっかりと出ている。

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