「ただいま」笑顔咲く 台湾留学の沖縄出身学生ら帰郷 コロナ下、JTAがチャーター便

 台湾に留学する沖縄県出身の学生ら81人が29日、台北から帰郷した。関西空港から那覇空港まで、日本トランスオーシャン航空(JTA)のチャーター便を利用した。新型コロナウイルス発生後、帰国支援で国内線をチャーター運航するのは全国で初めて。 学生ら一行は出発前にPCR検査を受けて陰性を確認。29日にスターラックス航空の定期便で台北を出発し、関空入国後に抗原検査を受けてさらに全員の陰性を確認した後、JTAのチャーター便に乗り継いで那覇空港に帰ってきた。

 JTAによると、外国からの入国者が国内で定期便を利用するには、入国後に14日間の隔離を経る必要がある。今回はチャーター便を利用したため、公共交通機関に該当せず、関空からの一般搭乗者とも混在しないことから、隔離なしで同日中に那覇まで移動することが可能となった。留学生らは帰宅後14日間、自宅などで待機をする。

 新型コロナの感染拡大が続く中、多くの留学生らは1年以上沖縄の家族と対面で会えず、強い郷愁を抱えていた。台湾中部の逢甲(フォンジャー)大学に通う本島南部出身の仲宗根爽さん(21)は自らSNS(会員制交流サイト)でチャーター便の利用者を募った。

 仲宗根さんは2018年に進学のため、台湾へ渡った。毎年帰国してきたが、昨年は新型コロナの感染拡大で断念した。

 仲宗根さんは「冬休みに帰れない後輩が泣いていたこともあり、ぜひみんなで一緒に帰ろうと決心した」と、3月後半にSNSを活用し、帰郷したい留学生らを募った。わずか数日で約160人が利用したいと手を挙げた。

 仲宗根さんは「入国後の隔離期間中、ホテルを出て食べ物を買いに行くことや公共交通を利用することで感染リスクが高くなる。みんなでチャーター便で帰ったほうが感染リスクが抑えられる」と話した。

 29日午後8時ごろ、留学生ら一行が那覇空港に到着した。久しぶりに家族と再会した瞬間、自然に笑みがこぼれた。うるま市出身の池保昂弥(こうや)さん(19)は「(無事に到着したことに)感動した。沖縄そばを食べたい」とほっとした様子で語った。約10カ月ぶりに息子と再会する沖縄市在住の上地亨さん(52)は「こんなに長く息子と会っていないのは初めてだ。とてもうれしい」と笑顔で語った。

 JTAの糸数寛執行役員は「コロナ下のチャーター運航はハードルもあったが、帰りたい学生らのことを思って計画した」と述べ「今後も同様の相談があれば、チャーター運航を検討したい」と話した。

 仲宗根さんは「自宅でしっかり2週間待機してから行動したい。台湾に戻っても、現地の感染対策指示に従う」と強調した。(呉俐君)

© 株式会社琉球新報社