選挙割、リーフレット…若者の投票率アップへ! Z世代の取り組みとは

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。6月28日(月)の放送では、7月4日(日)の東京都議会議員選挙(都議選)に向け“若者の投票率アップの取り組み”に注目しました。

◆デンマークの若者投票率は約80%!

選挙の投票率がとりわけ低い20~30代。若者の投票率を上げるためにはどうすればいいのか、インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんに話を伺いました。

「NO YOUTH NO JAPAN」では、若者向けにわかりやすく政治情報などを発信するほか、ライブ配信で政治家に若者の声を直接届けるなどの活動もしています。

能條さんは「今、私にできることは(投票に)行きたいと思ったときに、誰に入れたらいいかわからない、どうせ投票しても無駄と思ってしまうところを『そうじゃない』と、少しでも投票に行くきっかけを作ること」と自らの役割について語ります。

そんな能條さんの原点は、大学時代に留学したデンマークにありました。そこで彼女の目に映ったのは、日本では考えられない選挙の風景で「(デンマークでは)1ヵ月ぐらいお祭り状態が続き、投票日にはみんなでご飯を食べながら開票速報を観てしゃべったり、ポップコーンを食べながら党首討論を観て夜な夜な話をしたり、自分たちも楽しむものだった」と振り返ります。

デンマークの若者の投票率は80%近くありますが、日本は2017年の都議会議員選挙と衆議院選挙、2019年の参議院選挙のいずれも20代の投票率が全世代のなかで最も低く、全体の投票率と比べると20ポイントも低いのが現状です。

そういった状況のなか、能條さんたちは2年前から活動を始め、今年、手応えを感じる選挙がありました。それは3月に行われた千葉県知事選挙。

能條さんたちは知事選の投票率アップを目指し、新たなプロジェクト「VOTE FOR CHIBA」をスタート。まず行ったのは選挙に興味を持ってもらうべく、投票済証明書を持っていくと割引や無料サービスが受けられる「選挙割」の実施。地域の飲食店に導入を呼びかけ、最終的には70以上の店舗が協力。

さらには各自治体に協力を仰ぎ、成人式で選挙の情報をまとめたリーフレットを配布しました。

その結果、50代以上は5ポイント程度の上昇だったのに対し、10代・20代の投票率は約10ポイント上昇。能條さんは、「少しは若い人の投票率が上がった感覚があった。(投票率は)低いながらもちょっとずつ変わっていったかな」と手応えを語ります。

そして、最後に若い世代が選挙に参加する意味について聞いてみると「参加することが大事。それは正解がない。生きやすさは人によって違うから、だからこそ一人ひとりが自分の思う生きやすさを持って、同じような意見でまとまって声が通るようになっていくことが大事」と語っていました。

◆日本の若者の投票率、世界に比べて格段に低い現状

日本と世界の若者の投票率を比較してみると、アメリカでは18~20歳が約4割、21~24歳は5割超え。ドイツはどちらも7割近く、スウェーデンは8割を超えていますが、日本は3割程度。

これを見た慶應義塾大学 総合政策学部4年の阿部将貴さんは、日本の若者の投票率の低さを実感しつつも「ただ、アメリカやヨーロッパは投票所で並んでいる間にご飯が配られたりする。だから日本よりも(投票に)行くモチベーションが高くなるのは当然。なので、能條さんが取り組んでいた選挙割のようなものを今後どう広げていくかで若い人の投票率アップにつながる」と期待します。

事実、投票率を上げるために世界中で試行錯誤が重ねられています。例えば、アメリカでは投票箱を美術館や海岸、美容院などさまざまな場所に設置。オーストラリアでは、投票所の近くにバーベキューやスイーツなどの屋台が並び、エストニアではインターネット投票を実現。その利用率は43.8%で、投票のやり直しも可能。さらに、ブラジルでは3回連続で理由なく投票しないと投票人名簿から抹消されるという事例も。

こういった試みは、投票に行く端緒としてはいいものの、何のために投票に行くのかという危惧もありますが、阿部さんは「海外の例を見ると、選挙がお祭りのように盛り上がるのが1つの特徴。日本でそれがどう実現できるかが1つのトリガー(きっかけ)になるのかなと思う」と言います。

また、投票率を上げるための手段としては「若者が海外の選挙の事例を見に行けたり、見にいけないとしても、そういったことを伝えるメディアがあったりするといいのでは」と提案。なぜなら阿部さん自身、アフリカ留学中に現地の選挙で暴動が起きるところを見て初めて政治に興味を持ったと言い、「そういう日本にはない体験・経験が若者のなかで増えれば、政治・選挙により興味を持つ若者が増えるのではないか」と話していました。

一方、キャスターの堀潤は「(選挙活動における)第一声をやめたらいいと思う」と言います。というのも、先日、第一声を見に行った際、地域の地権者や有力政治家がひとしきり演説し、1時間ぐらいして候補者が登場。一瞬盛り上がりを見せるもその後にシーンとする光景を見て、第一声の不要さを感じたと言います。また、そのとき隣にいた若手の国会議員も「この風景をそろそろ変えないとね」と言っていたことを明かしました。

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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