「なぜ」長崎製作所社員らも困惑 三菱電機検査不正 調査徹底求める声

 「知らなかった」「なぜ」。三菱電機長崎製作所(長崎県西彼時津町)の鉄道車両用空調機器の検査を巡る不正が報道で明らかになった30日、地元関係者は驚きや困惑の表情を見せた。原因調査の徹底を求める意見や、信頼を損ねないか懸念する声も聞かれた。
 同日朝、同製作所に出勤した関連会社の男性社員は「初めて聞いた」と耳を疑った。三菱電機の男性社員も「今朝のニュースで知った。(自身は)部署が違うし、これまで社内で全く聞かなかった。自分の耳に入るようなレベルの話ではないのかも」と話した。
 同製作所は同日、各部署の管理職を通じて社員に「調査中」と伝えた。関連会社に約40年務めている60代男性は「絶対にあってはならないこと。(自身は別の部署で)一生懸命やっているのに、同じに見られるのが悔しい。真相を知りたい」と話し、今後の調査を注視するという。
 70代OB男性は「30年以上続いたなんて、考えられない。現場は知っていたのか、『慣例』と流してきたのか。誇りと自信を持って製品を作ってきただけに、不正は腹立たしい」と語気を強めた。
 ある取引企業の経営者は、鉄道車両用空調機器が海外にも輸出されていることから「訴訟リスクが心配」。同製作所では他に非常用発電設備や駅の可動式ホームドア、大型映像表示装置も製造しており、「関係ない他の製品まで信頼性が揺るがなければいいが…」と影響を危惧した。

 


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