認知症での行方不明 長崎県内61人で横ばい 「地域の目」で早期発見へ

 2020年に認知症やその疑いで行方不明となり長崎県警に届け出があったのは、前年より3人減の61人とほぼ横ばいだった。早期発見が重要となる中、県や県警、各市町は民間事業者と連携し「地域の目」で見守る活動に力を入れている。
 県警人身安全対策課によると、県内の行方不明者の総数は16年以降、700人台で推移してきたが、20年は前年比122人減の663人。一方、認知症(疑い含む)の行方不明者は増加傾向か、ほぼ横ばいとなっており、高齢化の進展が影響しているとみられる。
 認知症を含む高齢者の見守りを強化しようと県や各市町は民間事業者と協定を締結。行方不明者を早期に発見する仕組みづくりを進めている。
 島原市では、官民で組織する協議会で、早期発見につなげる「SOSおかえりネットワーク」を15年から推進。認知症などに起因し行方不明の恐れがある高齢者らが事前に名前や特徴などを登録し、市地域包括支援センター、市福祉事務所、島原署の3者で情報を管理している。
 登録した人は、つえなど普段持ち歩くものにQRコード付きのシールを貼り、スマートフォンなどで読み取ると、島原署などの連絡先が表示される。行方不明の情報が寄せられた場合は、約100団体にメールやファクスで発信し、情報提供と声掛けを呼び掛ける。
 実際に今月17日昼には、登録した高齢男性が行方不明になったとの連絡が妻から寄せられ、情報を発信。約1時間後に市内の医療機関で無事保護された。
 県長寿社会課は「核家族化や地域のつながりの希薄化で従来に比べて見守り活動のマンパワーが不足する中、複数の民間事業者とも連携し、多重性を持たせた取り組みを進めたい」としている。

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