野手では日本人3人目の月間MVPなるか 大谷翔平のライバルは?

メジャーリーグは6月の戦いを終えた。今後数日以内に6月の月間アウォードの受賞者が発表されるが、大谷翔平(エンゼルス)が月間MVP(正確には月間最優秀選手)を受賞できるか注目が集まっている。日本人選手が月間MVPを受賞したのは、野手に限れば過去にイチロー(2004年8月)と松井秀喜(2007年7月)の2人だけ。両リーグ1位となる長打率.889とOPS1.312をマークした大谷はア・リーグの月間MVPの本命に挙げられている。

メジャーリーグの月間MVPは月間最優秀選手(プレイヤー・オブ・ザ・マンス)と月間最優秀投手(ピッチャー・オブ・ザ・マンス)に分かれており、前者は野手、後者は投手が表彰される。「月間最優秀打者(ヒッター・オブ・ザ・マンス)」というアウォード名ではないため、打撃成績以外の要素も選考時の評価の対象となる可能性はあるが、大谷の投手成績(5先発で2勝0敗、防御率4.94)がどれくらい加味されるかは不透明。ここでは打撃成績のみを他の有力候補たちと比較したい。

ア・リーグの6月の打撃各部門のトップ5と大谷の成績は以下の通り。

◆打率
1 マイケル・ブラントリー(アストロズ) .410
2 セドリック・マリンズ(オリオールズ) .380
3 ネルソン・クルーズ(ツインズ) .380
4 ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ) .371
5 ユリ・グリエル(アストロズ) .366
18 大谷翔平(エンゼルス) .309

◆安打
1 ウィット・メリフィールド(ロイヤルズ) 40
2 セドリック・マリンズ(オリオールズ) 38
2 J・P・クロフォード(マリナーズ) 38
4 ジョナサン・スコープ(タイガース) 36
4 ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ) 36
4 ボー・ビシェット(ブルージェイズ) 36
37 大谷翔平(エンゼルス) 25

◆本塁打
1 大谷翔平(エンゼルス) 13
2 ジョナサン・スコープ(タイガース) 10
2 ホゼ・アルトゥーベ(アストロズ) 10
2 ジョーイ・ギャロ(レンジャーズ) 10
2 ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ) 10

◆打点
1 ジョナサン・スコープ(タイガース) 27
2 ライアン・マウントキャッスル(オリオールズ) 26
3 ヨーダン・アルバレス(アストロズ) 24
3 ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ) 24
5 大谷翔平(エンゼルス) 23

◆出塁率
1 ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ) .465
2 ジャスティン・アップトン(エンゼルス) .463
3 ネルソン・クルーズ(ツインズ) .457
4 マイケル・ブラントリー(アストロズ) .456
5 セドリック・マリンズ(オリオールズ) .452
9 大谷翔平(エンゼルス) .423

◆長打率
1 大谷翔平(エンゼルス) .889
2 ネルソン・クルーズ(ツインズ) .759
3 ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ) .753
4 セドリック・マリンズ(オリオールズ) .720
5 ジョナサン・スコープ(タイガース) .698

◆OPS
1 大谷翔平(エンゼルス) 1.312
2 ブラディミール・ゲレーロJr.(ブルージェイズ) 1.217
3 ネルソン・クルーズ(ツインズ) 1.216
4 セドリック・マリンズ(オリオールズ) 1.172
5 ジョーイ・ギャロ(レンジャーズ) 1.105

大谷は打率.309、13本塁打、23打点、OPS1.312を記録。月間13本塁打は球団タイ記録であり、本塁打で2位タイの4人に3本差をつけていることや、長打率とOPSでダントツの数字を残していることを考えると、投手成績を加味せずとも大谷が本命と言える。打率はトップ5には遠く及ばないものの、3割のラインを超えており、大した問題ではないとみられる。

対抗馬は上記7部門すべてでトップ5に名を連ねているゲレーロJr.だろう。トップの項目は出塁率のみだが、打率.371、10本塁打、24打点、OPS1.217と素晴らしい成績をマーク。打率で大谷に6分以上の差をつけていることが評価されるかもしれない。

リーグ最多の27打点を叩き出したスコープは、打率.340、10本塁打を記録したものの、四球が極端に少ないため、出塁率は.379に過ぎない。そのため、OPS1.077もリーグ8位にとどまっており、大谷やゲレーロJr.に勝る評価を得るとは考えにくい。

むしろ、リーグ2位の打率.380をはじめ、上記7部門のうち本塁打と打点以外の5部門でトップ5入りしたマリンズのほうが可能性は高いかもしれない。打点は16と少ないものの、これは不動のリードオフマンとして起用されたからであり、8二塁打、8本塁打を記録。また、7盗塁はメリフィールドと並ぶリーグ最多タイの数字である。なお、打率1位のブラントリーは打率以外の数字が伸び悩んでおり、受賞の可能性はほぼゼロに等しい。

ゲレーロJr.とマリンズも素晴らしい成績を残したが、本命が大谷であることは間違いない。イチローと松井に次ぐ日本人野手史上3人目の月間MVPが誕生する可能性は高そうだ。

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