ファーストスターが誕生し”宇宙の夜明け”が訪れた時期が示される

【▲ ファーストスターやファーストギャラクシーのイメージ画(Credit: Dr Harley Katz, Beecroft Fellow, Department of Physics, University of Oxford)】

ケンブリッジ大学は6月24日、ケンブリッジ大学やユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)などの研究チームが、ファーストスター(初代星)が誕生し宇宙の夜明けが訪れた時期を示したと発表しました。

研究チームによれば、ファーストスターが誕生し宇宙の夜明けが訪れたのは、宇宙が誕生してから2.5億年後から3.5億年後の間だと考えられるといいます。

宇宙は、138億年前に誕生しましたが、宇宙の晴れ上がりからファーストスターが誕生し宇宙の夜明けが訪れるまで、恒星などはなく、数億年に渡って、いわゆる「宇宙の暗黒時代」が続いたと考えられています。

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では、ファーストスターが誕生し宇宙の夜明けが訪れたのはいつだったのでしょうか?

研究チームは、現在知られている最も遠い6個の銀河について、ハッブル宇宙望遠鏡とスピッツァー宇宙望遠鏡の観測データを使って、それぞれの銀河からの恒星の光を分析し、これらの銀河の年齢を2億歳から3億歳と算定しました。これによってこれらの銀河に含まれている恒星が最初に形成された時期を見積もることができます。

また、研究チームは、アルマ望遠鏡や超大型望遠鏡(VLT)、ケック望遠鏡など、名だたる地球上の望遠鏡を使って、分光測定をおこない、赤方偏移から、これらの銀河が誕生から5.5億年後の宇宙に存在していたことを突き止めました。

以上から、研究チームでは、ファーストスターが誕生し宇宙の夜明けが訪れたのは、宇宙が誕生してから2.5億年後から3.5億年後の間であることが示されたとしています。

そして、論文の共同執筆者であるUCLのリチャード・エリス教授は「私達は(NASAの)ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の打ち上げを本当に楽しみに待っています。私達はジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡には宇宙の夜明けを直接観測する能力があると信じています」とコメントしています。

Image Credit: Dr Harley Katz, Beecroft Fellow, Department of Physics, University of Oxford
Source: ケンブリッジ大学論文
文/飯銅重幸

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