波に乗れないソフトバンク 「トレード」「外国人補強」はあるか?

自打球を当てもん絶する甲斐をベンチで見守る工藤監督(左)

王者が波に乗れない。ソフトバンクは1日の西武戦(ペイペイ)に0―1の零封負け。獅子のエース・高橋の前に8回1安打無得点で、2019年から9連敗となった。前夜15安打していた打線が天敵を前に再び沈黙。一夜で勝率5割に逆戻りして、閉塞感を打破できない状況が長く続いている。

ここまで千賀、モイネロ、森、グラシアルらを欠いた中で懸命に戦ってきた。交流戦以降、主力野手陣が一斉に調子を落として打線が低迷する中で耐えしのぐ日々だ。6月だけでも二軍から三森、柳町、川瀬、九鬼、谷川原、佐藤直らが昇格。その中で三森が1番に定着するなど苦境の中で「光」もあった。ただ安定感のある戦いからは程遠く、王者の先行きに不安を抱く声が球団内外から漏れ伝わっている。

もちろん今季のこれからの戦いも含めてだが、来年以降も見据え「血の入れ替えが必要な時に来ている」との声がある。ファームから「起爆剤」となる選手を引き揚げて変化をつけるのは現場の仕事。ただ、打てる〝カンフル剤〟はそれだけではない。フロントの仕事として「トレードや外国人の緊急補強など外部から新しい血を入れることも策」との考えからだ。

1日には再昇格したばかりだった牧原大が、わずか3日で故障を再発して登録を抹消された。「足が100じゃなければ、100で走る必要はない」と最終判断して昇格させた工藤監督の言葉は、現場の苦しい台所事情を物語っているとの指摘もある。

4年連続日本一は同時に、毎年ポストシーズンを含めて160試合前後を戦ってきたことを意味する。選手の疲弊も大きい。主力に代わる若手を育てながら勝ち続けるには限界もある。現場には有事に駒となる「生きのいい選手がいない」との声もある。育成が追いつかなければ、シーズン途中の補強も選択肢となる。「チームに緊張感と球団の本気度が現場に伝わる効果もある」という声も出ている。

苦境の中で常勝への次なる一手を打つ時が来ているのかもしれない。

© 株式会社東京スポーツ新聞社