中国BPC市場で機能重視が鮮明に

中国都市部の女性消費者の74%が特定の機能性成分に注目

中国のBPC(Beauty and personal care)市場は、フェイシャルスキンケアからボディケア、ヘアケアに至るまで、機能重視の傾向を強めています。Mintelの最新の調査で、「消費者が何を何のために使っているか」を専門家が調べたところ、中国の都市部に住む女性消費者の74%が特定の機能性を持つ成分に注目しており、65%がさらにそうした機能性を持つ成分のメカニズムをより深く追求すると答えています。一方で、大多数(97%)の人は、自分のニーズに合った成分を知ることが重要だと考えています。

BPCの成分情報に注目している女性の60%が、医者や美容の資格を持つ人などの専門家が薦める製品を信頼すると回答しました。また、インフルエンサーについて、プロのイメージを持つ人の方が、そうでない人に比べて評価が高くなっています(40% vs. 17%)。また、女性は美容製品について友人や家族に相談する傾向がありますが、成分情報に関しては、友人や家族(34%)よりも店頭チャネル(43%)の方が影響力が大きいことが判明しました。

Mintelの美容&パーソナルケアアナリスト、Anne Yin氏は次のように述べています。

「現在の中国では、BPC製品の有効性をめぐる競争が、成分レベルで激化しています。消費者はブランドに対し、配合成分の透明性を高め、効能や効果の根拠を求めるようになっているのです。そのため、消費者に成分情報を伝える際には、それが消費者にとってよりよい効果をもたらすものであるという科学的根拠が重要になっています。消費者は成分に関する知識を、ブランドのチャネル、サードパーティーのプラットフォーム、そして専門家のKOLという三者から学んでいきます。BPCブランドはそうした消費者への教育において一歩リードしているといえますが、プロのKOLや個人的な分析など、より影響力のあるプラットフォームによって、消費者はブランドの発信よりも詳しくなることも多いといえます」

美白、アンチエイジング、ニキビケアの競争激化

Mintel Global New Products Database(GNPD)によると、2020年のBPCイノベーションでは、フェイシャルスキンケア、ボディケア、ヘアケアのいずれにおいても「美しさを高める」(85%)、「自然」(68%)という売り文句が最も多く見られました。

成分訴求について「エキス」を成分とする製品の割合は世界的には比較的安定した傾向がありますが、中国(2018年0.4%→2020年0.7%)と韓国(2018年0.4%→2020年0.6%)では特に発酵成分の割合が伸びています。

Yin氏の分析は以下の通りだ。

「消費者は、非常に多様な商品や成分関連情報を自分たちで簡単に手に入れることができます。なので、Mintel Trend Guided Choiceが言及しているように、消費者が適切な商品を見つけられるようなサポートがあるブランドや組織は、より高く評価されるようになっています。成分情報についてのプラットフォームが、自分の肌タイプに合ったBPC製品を提示し、そのマッチングスコアを表示するように、ブランドは自社の成分や処方を特定の肌タイプに特化したものとして位置づけ、消費者それぞれにとっての適合性や有効性をよりよく伝えることが重要になるでしょう」

約半数の消費者が植物由来の成分の有効性を信頼

BPC製品の成分に注目したことのある中国の都市部の消費者は、植物由来の成分(78%)、植物エキス(72%)、中国伝統医学の成分(65%)、動物由来の成分(52%)といった成分について、他の科学的な成分より自然なものであると考えています。そして、消費者は植物由来の成分は比較的皮膚刺激のリスクが低いとも考えています。また、微生物由来の成分(42%)やペプチド(40%)は最近のトレンドとされていますが、中国都市部の消費者は植物由来の成分に比べてその効果が認められていないという印象を持っているようです。

Yin氏は、「一つの成分が万人のニーズに合うということが、以前にも増して起きにくい状況になっていると言えるでしょう。代わりにブランドは、消費者セグメントの好みに合わせて、成分や処方によって製品を細分化することができます。例えば、ナチュラルなイメージを伝えつつ、効果も保ちたい場合は、植物由来の成分が第一の選択肢となるでしょう。しかし、将来的な普及のためには、こうした自然由来の成分についても、機能的なメカニズムを伝えたり、肌への効果を検証した結果を提示するなど、成分と機能との関連性を示すことが必要かもしれません」とコメントしている。

BPC製品の成分に対する消費者意識の変化を捉え、ブランド側が的確に情報を伝えることができれば、おのずと中国消費者に選ばれる製品へと成長していきそうです。

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