「被爆体験から多様性にも着目」 被爆3世の林田さん レクナ研究員に採用

林田光弘特任研究員

 長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)は1日、長崎市出身の被爆3世、林田光弘さん(29)を特任研究員として採用した。全世界に核兵器禁止条約の批准などを求めた活動「ヒバクシャ国際署名」の元キャンペーンリーダー。今後、デジタル技術を活用して原爆被害の実相を広く伝えることを目指し、被爆資料の分析や追加調査などに取り組む。
 レクナは本年度から、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(同市平野町)の委託を受け、同館が所有する被爆体験記などの資料分析や、それらを基にしたデジタル教材の開発や運用を進めていく。林田さんの採用はこの事業の一環。
 林田さんは父方の祖父が被爆者。県立長崎北高時代に第12代高校生平和大使を務めた。大学進学で上京した後も核廃絶運動に携わり、国際署名活動は2016年の開始から今年の終了時までリーダーを担った。先月、会社を退職し、家族と共に長崎市に帰郷した。
 今後は資料調査や分析のほか、デジタルやオンラインの技術を活用した新たな伝え方も検討する。取材に「被爆体験を単に映像や音声で残すだけでなく、被爆者の戦後の人生にも注目して資料を見直し、新たな証言も掘り起こしたい」と抱負。さらに「被爆体験の中から、ジェンダーやLGBTQ(性的少数者)など都市部の若者の関心が高い『多様性』に着目し伝えることで、多くの人に関心を持ってもらえるようにしたい」と意気込む。

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