都議選2021「U30はここを見る!」若者視点で注目したい政策や争点(NO YOUTH NO JAPAN)

こんにちは!NO YOUTH NO JAPANです。私たちは若い世代から参加型デモクラシーを根付かせるため、政治や社会について分かりやすく発信している団体です。(Instagram:NO YOUTH NO JAPAN (@noyouth_nojapan) • Instagram photos and videos

今回は、今週末(7月4日)に迫った東京都議会議員選挙をU30世代はどう見ているのか、有権者数の割合や過去の投票率を振り返りながら、若者の視点で注目される政策や争点を紹介していきます。

もくじ

  • U30世代の有権者数、過去の投票率はどれくらい?
  • U30が注目する都議選の争点
  • 若者の投票率UPに挑戦!suginami voters インタビュー

U30世代の有権者数、過去の投票率はどれくらい?

そもそも、都議会選挙において、U30世代の有権者の影響はどれくらいあるのでしょうか。

前回、2017年の選挙では、オリンピック・パラリンピックに対する各党の姿勢、豊洲市場の移転などが主な争点となりました。全体の投票率は51.28%で、18歳の投票率は46.43%とU30世代の中で最も高く、21歳〜25歳の投票率は25.32%と最も低い結果となりました。

今回の選挙で投票権をもつ東京都の選挙人名簿登録者総数は、2021年6月現在11,483,534人。住民基本台帳による東京都の世帯と人口によると、今年1月時点でのU30世代の(18歳〜29歳)の人口は1,793,888人(都は世代別選挙人名簿登録者数を公表していない)で、ここから東京都におけるU30世代の有権者の割合は約15%程度と推定されます。しかし、進学や就職などで上京し、住民票を移していないため都議選における投票権がなかったり、住民基本台帳の統計には日本において選挙権が認められていない外国人の人数も含まれるため、実際の割合はさらに少ないと予想されます。有権者数の少なさと低い投票率により、選挙における影響は必ずしも大きいとは言えないのが現状です。

U30が注目する都議選の争点は?

そんな中でも、投票にいく層はどんな点に注目しているのでしょうか。今回の選挙戦は、都のコロナ対策、オリンピック・パラリンピックの開催に関する姿勢が全体としての主要な争点となりそうですが、U30世代は主にどのような政策に注目しているのか、NO YOUTH NO JAPANのInstagramでのアンケート調査をもとに、U30が注目する都議選の争点をまとめました。

【Instagramアンケート調査概要】

  • 実施場所:NO YOUTH NO JAPAN Instagramアカウント
  • 実施日時:6月25日〜26日
  • 調査対象:NO YOUTH NO JAPANのフォロワー 63473人(6月25日時点、うち約7割が18歳〜30歳)
  • 回答形式:自由記述
  • 質問:「東京都議選 投票する時重視する政策を教えてください!」

自由記述アンケートの回答から得られた結果によると、上位3つには「ジェンダー平等」「気候変動対策」「教育・子育て政策」が入りました。コロナ対策やオリンピック・パラリンピック関連の政策を重視するという回答は比較的少数となりました。

ここからは、アンケートで注目する政策として多数を占めた「気候変動」「ジェンダー」「教育・子育て」に関して、都政の今とこれから、そして都議選における争点などを見ていきます。

気候変動

東京都は2019年12月に「2050年までに温室効果ガス排出量ゼロ(2000年比)」を目標に据えた「ゼロエミッション東京戦略」を公表しました。2021年3月、新型コロナウイルス感染拡大の影響による社会情勢の変化を踏まえ、この戦略をアップデートしています。従来までの「2050年までに温室効果ガス排出量ゼロ」という目標をより具体化し、「2030年までに目標値の半分の排出量削減(カーボンハーフスタイル)」を軸とする新たな取り組みの指針を定めました。民間ビジネスとも連携し、再生可能エネルギーの利用を前提とした都市づくりを進めるなど、分野ごとの具体的なアプローチも公表しており、2021年度予算では、「ゼロエミッション東京」の実現のため、403億円を計上しています。

また昨年3月、都議会は国に対し「気候変動対策に関する意見書」を提出し、国レベルでの気候変動対策の実施を要請しました。政府は昨年秋、国として2050年までにカーボンニュートラルを目指す「脱炭素宣言」を行っています。小池都知事も直近の都議会における所信表明で、コロナ対策、オリンピック・パラリンピック開催の次に重視する政策として脱炭素社会を目指す環境政策に言及しています。

都議選においては、各候補者が気候変動対策にどのような姿勢をもって取り組むのかどうかがU30世代の有権者から問われます。「ゼロエミッションを実現する会」は都議選の候補者に向けて行った「気候危機に関するアンケート」を実施し、結果を公開しています。このサイトでは、自分の選挙区の候補者が気候変動対策にどのような姿勢をもっているかを簡単に知ることができます。

ジェンダー

東京都が2017年に策定した「男女平等参画推進総合計画」では、女性が男性とともに社会で活躍できるためのさまざまな施策や、配偶者暴力(DVや性暴力)の防止のための対策などが定められています。2021年にその計画期間の終わりを迎えるため、今後新たな基本計画の策定のために、審議や議論が加速すると思われます。他にも、毎年「女性も男性も輝くTOKYO会議」が開催され、2020年度ではキャリア支援、コロナ禍におけるテレワーク活用、保育サービスの拡充、女性医療や配偶者暴力被害者等のセーフティネット強化支援など、女性活躍推進のためのあらゆる事業に計2,121億円が割り当てられました。「女性差別撤廃条約実現アクション」は、今回の都議選に合わせた候補者アンケートを行っており、このサイトから各候補者がジェンダー平等に向けてどのような姿勢を示しているのかを知ることができます。

最近ではダイバーシティの観点から、渋谷区や世田谷区などで導入されている性的少数者のカップルを認める「パートナーシップ制度」を、東京都しても制度の導入を求める声も高まり、導入に向けて本格的に検討が進められています。2021年3月に当事者団体によって要望書と18,077筆のネット署名が小池都知事に提出され、また都議会でも請願が趣旨採択される等、パートナーシップ制度の導入を求める多くの声が都に届けられました。そうした声に対して、小池都知事は都議会本会議の中で、パートナシップ制度の導入の検討を進めることを表明し、今後実現に向けてさらに議論が本格化されることが考えられます。

教育・子育て

東京都は子供を安心して産み育てられ、次代を担う子供たちが健やかに成長できる社会の形成を目指した「子供・子育て支援総合計画(第2期)」を2020年に取りまとめており、地域における妊娠・出産・子育ての支援の仕組みづくりや子供の成長段階に応じた保育・教育支援の充実、ひとり親家庭や子供の貧困への支援充実を目指した計363事業が行われています。

コロナ禍において出産・育児への不安が高まっていることから、子供を産み育てる家庭を応援・後押しするための出産応援事業として、希望する家庭に10万円相当の育児用品や支援サービス等を提供しています。

都議選においても、気候変動、ジェンダー平等、子育て・教育政策など、若い世代に深く関わる政策に対して各候補者が今後どう取り組んでいくのかに注目が集まります。

若者の投票率UPに挑戦!Suginami Voters インタビュー

今回の都議選では、杉並区の学生グループSuginamiVotersが、杉並区で若者の投票率向上に取り組んでいます。代表の大津さんに活動内容や想い、都議選の注目ポイントをきました。(聞き手:NO YOUTH NO JAPAN 足立あゆみ)

―まずは簡単にSuginamiVotersの紹介をお願いします。

Suginami Voters代表 大津樹音(以下、大津):Suginami Votersは杉並で生まれ育った大学生が、杉並区の若者の投票率アップを目指して活動している団体です。今回、東京都議会議員選挙に合わせて「VOTE FOR SUGINAMI」プロジェクトを行っています。

―「VOTE FOR SUGINAMI」ではどんな活動をしているんですか?

大津:主にインスタグラムで選挙情報の発信と選挙割を実施しています。インスタグラムでは例えば、候補者アンケートを行って、各候補の政策内容を発信しています。選挙割とは、投票所で貰える投票済み証明書をお店に持っていくことで割引が受けられる取り組みで、杉並区内では現在5店舗の協賛が決まっているので、ぜひ多くの方に使っていただきたいです。

―「VOTE FOR SUGINAMI」をやろうと思ったきっかけを教えてください。

大津:父が新聞記者をしている影響で「これからの日本はどうなるのか」といったテーマの記事をよく勧められて読んでいたことがきっかけだと思います。日本の将来に危機感を抱くようになったと同時に、他の若者はどれくらいそのような危機感を持っているのか、若者の声がどれだけ政治に届いているのかということを疑問に思うようになりました。自分達が大人になったときの社会はどうなっているのか、今動かないと何も変わらない、という想いに駆られて、若者政治参画を目指して団体を立ち上げました。そこから、まずは身近な地元の若者から投票を呼びかけようと「VOTE FOR SUGINAMI」を行うようになりました。若者の投票率を上げて、若者の声も政治に届く社会にしたいです。

ー最後に、東京都議会議員選挙の注目ポイントを教えてください。 大津:私は、コロナ後の政策についても議論がどれほど進むのかに注目しています。この先ずっとコロナ禍が続く訳ではないので、自分達が働き始める頃の日本はどうなるのか、関心があります。コロナ対策やオリンピックについての議論も重要ですが、コロナ後を見据えた長期的な議論も進めていける都議会になってほしいです。

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「VOTE FOR SUGINAMI」協力:一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN 選挙割 協力:一般社団法人選挙割協会

出典:
東京都:東京都選挙人名簿登録者数
東京都:住民基本台帳による東京都の世帯と人口令和3年6月
東京都:東京都議会議員選挙投票率
東京都:都議会議員選挙若年層投票率の推移
早稲田大学マニフェスト研究所:2017年東京都議会議員選挙会派マニフェストの政策比較表
東京都議会:気候変動対策に対する意見書(令和2年第1回定例会)
東京都:令和3年第二回都議会定例会知事所信表明
東京都生活文化局:男女平等参画
東京新聞(2021年6月1日):「同性パートナー制度 創設の請願を趣旨採択 都議会委」
東京新聞(2021年6月2日):「同性パートナーシップ制度、東京都も導入検討 知事『国民の理解広がってきている』」
東京新聞(2021年3月27日):「『都もパートナー制を』知事に当事者ら、要望書と署名」
東京都福祉保健局:東京都出産応援事業

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