〝無期限抹消〟巨人・菅野の東京五輪は風前の灯 迫る辞退決断のタイムリミット

菅野はどんな決断を下すのか…

夢はついえてしまうのか――。東京五輪出場が内定している巨人・菅野智之投手(31)が「究極の2択」を迫られている。2日には「再調整」のため出場選手登録を抹消され、今季4度目の戦線離脱が確定。侍ジャパンでの活躍はいよいよ不透明となってきた。しかも、巨人の原辰徳監督(62)が下した調整期間は事実上の無期限だ。稲葉篤紀監督(48)率いる日本代表選手の登録期限は原則5日とされ、一世一代の決断の時が待ったなしとなっている。

夢舞台進出へ、菅野に最大の難局が訪れた。開幕から不調が続き、18日ぶりに復帰した1日の広島戦(東京ドーム)では3回途中4失点KO。右腕はこの日から一軍を離れ、故障班で調整を開始した。試合後の菅野と直接話し合っていた原監督は抹消した経緯を「我々、本人が思っている投球ができなかったということで、今回再調整という決断をしたということ」と説明した。

最大の焦点は一軍復帰を見通せる時期だ。最短の10日間で復帰できるとすれば、前半戦最後となる13日、14日のヤクルト2連戦(東京ドーム)から再登録と登板が可能となる。しかし、指揮官の見立ては「まあ、奇跡的にコンディションが上がれば、ないとは言えないね」と慎重姿勢。「やっぱり、かなり本人は首をひねる状態であったことは間違いないでしょう」と最速復帰にこだわらない方針だった。

となると、五輪出場がますます見通せなくなってくる。開幕戦自体は28日だが、選手登録の期限は基本的に5日とされている。このまま調整を続けて出場するにせよ、辞退する道を選ぶとしても、〝タイムリミット〟は迫っている。球界関係者は「招へいした侍ジャパン側から内定を取り消すことはあり得ない。辞退するなら、本人が申し出るしかない」という。辞退する場合は代替選手を選出する必要があり、結論はいっそう急ぐ必要がある。

とはいえ、昨オフにポスティングシステムを使ったメジャー移籍を断念し、巨人に残留した功労者の菅野にとって、五輪出場が大きなモチベーションとなってきたことも確か。五輪への思いが残留に直結したわけではないが、菅野は「去年、東京五輪があったら…ということを考えると、そこを目標にしていた自分もやっぱりいた。そこに新たに目標ができたことは自分の中ですごく大きいです」と心を躍らせていた。

ただ、状態が上がる確証がない中で自分の〝夢〟だけを追いかけ、代表チームの足を引っ張る結果になっては本末転倒。見切り発車で突き進むも、退くも本人の意思に委ねられている。

原監督も「本人とNPBを含めた稲葉監督たちが決めることだと思います。そこは彼とは話してない。我々でも立ち入ることのできないところ」と語った。日本で開催される野球の五輪はラストチャンス。菅野はどんな決断を下すのか。

© 株式会社東京スポーツ新聞社