利用者層拡大へ 憩いの場『かのん』の新たな展開 本販売、場所提供

本の販売やミニコンサート会場の提供など新たな取り組みを開始した「Book&Music かのん[奏音]」=佐世保市

 長崎県佐世保市島地町の、子どもらが自由に読書や休憩などに利用できるスペース「かのん[奏音]」は、名称を「Book&Music かのん[奏音]」に改め、、本の販売やミニコンサート会場としての場所を提供するなど、新たな展開に取り組んでいる。
 心療内科「かなでクリニック」=同市下京町=の野口栄二院長(54)が、医療につながる前の子どもたちの力になりたいと、2019年12月に開設。約90平方メートルの広さがあり、ピアノや約2千冊の書籍をそろえている。Wi-Fiも無料で利用可能だ。
 学生は無料で、主に高校生が勉強スペースとして利用。大人も一口千円のサポーター会員登録をすれば利用できる。
 開設費用は野口院長が個人で負担。同会員登録などによる寄付を募ったり、雑貨販売をしたりしているが、維持費のほとんどを野口院長が支出しているのが実情だ。利用者は、オープンして間もなく新型コロナウイルスの感染が拡大したこともあり、今年5月末までで計356人にとどまっている。
 こうした状況を受け、利用者層の拡大や収益源確保を図ろうと今年5月から新たな取り組みを開始。同施設で小説や参考書などの販売を始め、注文販売も受け付けている。新型コロナの状況を見つつ、ミニコンサート会場として場所の提供も行う予定だ。同施設で使えるクーポンの配布も始めた。
 野口院長は「この場所を気に入ってくれる人が1人でも増え、子どもが地域の人と何げない会話ができる憩いの場になれば、うれしい」と話した。
 月、火曜は午後2時~5時45分、水~土曜は午後1時~6時半、日曜は隔週で午後1時~5時、祝日は休み。新型コロナ感染防止のため、利用人数を5人に制限している。問い合わせは同施設(電080.7802.6296)。

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