学校推薦制度廃止から新公立高入試へ 中高に意見調査 長崎県教委

 学校推薦制度を廃止し前後期に分けて実施した2021年度の公立高入試。初回を終え長崎県教委は中学、高校にアンケートや聞き取り調査し新制度に対する意見をまとめた。「意欲ある生徒が入学してくれた」「(前期試験が)不合格だった生徒への指導が難しい」-。長所と短所の双方の声が上がった。
 2日の県議会文教厚生委員会で千住良治委員(自民・県民会議)の質問に、狩野博臣高校教育課長が答えた。
 アンケートは新制度で実施した県内57の公立高校の校長宛てに送り、中学の進路担当教諭らから聞き取った。
 前後期の試験内容は異なる。前期は従来の「文化・スポーツ特別推薦」と、新たに加わった「特色選抜」があり、募集定員は全体の5~50%の範囲で各学校が定める。特に、特色選抜は生徒を多角的に評価するため、学校側は基礎学力だけでなく、面接などにも比重を置いた。
 千住委員は、受験生の保護者から前後期の試験内容や定員数など新制度に対する戸惑いの声が多く上がったと紹介。制度のより分かりやすい周知を要望した。
 同課によると、高校側が「学校の強みをアピールできる点でいい制度」とする半面、中学側からは前期で合格すれば2月中旬には進路が決まるため、「最後に伸びる時期に勉強をやめるため、学力面でやや不安」との声も。前期の平均倍率は約2倍で、中には4倍を超える学校もあり「例年より不合格を経験する生徒が増え、精神面のケアが難しかった」という意見もあった。
 同課は「現時点で新制度を評価するのは難しい。今年入学した生徒が3年間でどう成長するか。それを見て、改善の必要性があるかどうか考えていきたい」としている。

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