新潟県が下越、県央、上越の3地方で新型コロナワクチン大規模接種を実施

燕三条地場産センター入り口

新潟県は3日、朱鷺メッセ(新潟市中央区)、燕三条地場産業振興センター(新潟県三条市)、くびき希望館(新潟県上越市)の3会場で、新型コロナウイルスワクチンの大規模接種を実施した。県が大規模接種を下越地方(朱鷺メッセ)以外の地域へ広げるのは初めてであり、今後17日には中越地方のディアプラザ長岡(新潟県長岡市)でも実施を予定するほか、今回の結果を踏まえて県央と上越では接種対象者を拡大していく方針だ。

県央と上越で初の県主催の大規模接種が実施

燕三条地場産センターでは、県央地域の5市町村(三条市、燕市、加茂市、田上町、弥彦村)の住民を対象としているが、「先行実施」となる今回は三条市内の保育園や学校・大学に勤める人などを対象とし、3日と4日で合計約3,000人へ接種する。「本格実施」は8月以降で、三条市以外からも接種の予約を受けつける。

6月以降、職域接種の進展と国からのワクチン供給量の減少が重なっているが、三条市では県と大規模接種の計画を進めるなかで、5月から地場産センターを会場として確保しており、設営が迅速に行われたことから大規模接種に必要なワクチンの量を確保できたという。

県央地域の集団接種会場となった燕三条地場産センター内メッセピア

多重接種などが発生しないよう一方通行の導線を整備した

県福祉保健部の松本晴樹部長は県央地域の大規模接種に関して「まだ開始から1時間程度だが、滞留もなく非常に順調に順調に進んでいる印象にある」と評価する。そして8月以降の本格実施に向けて「三条市でも今後は1日3,000人を目標に接種の拡大を目指しており、今日の流れを見ていても期待ができる状況だ」と話した。

また、「現在は高齢者への接種を最優先で進めているものの、今後若年層へ対象が広がった場合は予約がしにくくなる状況が生まれるが、一時的なものであり、新潟県ではモデルナ製ワクチンをかなりの量確保できているため、秋までには全員へ接種できる」との見解を示す。加えて、ワクチン接種の危険性に対するデマへの注意喚起も行った。

燕三条地場産センターで1回目の接種を終えた30歳代の女性は「現状周りにはモデルナ製ワクチンを打った人が少ないので、少し不安を感じるところもある」と話す一方で、会場の設営に関しては「時間がかかると思っていたが、スムーズに終わってよかった」と話した。

くびき希望館(新潟県提供)

くびき希望館での接種の様子(新潟県提供)

一方上越でも「くびき希望館」で、大規模接種が開催された。規模は1日あたり1,000から3,000回程度で、こちらは基本的に、上越市内の企業の社員とその同居家族(18歳以上)を対象としている。

朱鷺メッセでは花角知事がワクチンを接種

接種を受ける花角英世知事(代表撮影)

新潟市の朱鷺メッセ会場では、新潟県の花角英世知事がワクチンの接種(1回目)を受けた。接種後に花角知事は「特に副反応などはなく、あっという間に終わったという印象。(会場についても)最初に大規模接種が始まった時よりも一段とスムーズになった」と語った。

また現在の県内の接種状況に関しては、「全体としては円滑に進んでいる」(花角知事)との見解を示す。「接種を進めるにあたり、国へはファイザー製ワクチンの8月以降の供給計画を明らかにしてほしいと要望を続けている。しかし一方で、すでにかなりの量のワクチンが県内にすでに配布されているので、接種を計画通りに進めていくのが県の現在の方針だ」(同)という。

県の大規模接種では、朱鷺メッセ会場が交通の便の問題などから予約が埋まらないなど課題も浮き彫りとなり、新潟市内の中央区を除く各区から往復バスを運行するなど対策を進めた。今後の県央、中越、上越会場でも同様の課題が出ると同時に、若年層の接種にあたっては出勤の調整など新たな課題への対策も必要になっていく。行政の動きが注目されると同時に、企業や個人の意識もより積極的になっていく必要があるだろう。

ワクチン接種の受付を行う花角知事(代表撮影)

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