ベッテル、アロンソ妨害で3グリッド降格「僕がペナルティを受けるなら、他の人たちも罰せられるべき」/F1第9戦予選

 アストンマーティンのセバスチャン・ベッテルは、F1第9戦オーストリアGP予選Q2でフェルナンド・アロンソ(アスピーヌ)のアタックラップの妨害をしたとして、3グリッド降格のペナルティを受けた。

 アロンソはQ3進出をかけてQ2最後のアタックラップを走っていたが、ラップの終盤、ターン9とターン10にかけて、ベッテルに引っかかり、そのラップを断念せざるを得なくなった。Q1では3番手タイムを記録、その際のタイムはQ2進出に十分なものだったが、アロンソは結局予選14番手に終わった。

2021年F1第9戦オーストリアGP フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)

 ラップを走り終えたアロンソは無線で激怒。一方、ベッテルはチームに対して無線で「どうしてアロンソ(が後ろから来ていること)について教えてくれなかったの?」と聞き、チームは「教えたよ」と答えていた。

 この件についてスチュワードは審議した結果、3グリッド降格およびペナルティポイント1をベッテルに科した。

「アロンソはQ2終盤直前にファストラップを走っていた。最後のふたつのコーナー(ターン9と10)に近づいた時、前に3台のマシンがおり、最後の予選ラップの準備をしていた」とスチュワードの声明には記されている。

「ベッテルは3台の列の一番後ろに位置し、アロンソを妨害、その結果、アロンソは最後の予選ラップを断念しなければならなかった」

 予選8位を獲得したベッテルだが、11番グリッドに降格されることになった。

 ベッテルは、アロンソに謝罪する一方で、他のドライバーたちの行動を非難している。FIAレースディレクターのマイケル・マシは、クリアラップを取るためにターン9入口からターン10の出口にかけて自分の前にスペースを設けようとしてはならないとして、この区間での不必要な低速走行を禁じていた。ベッテルは、それを守らないドライバーたちがおり、その影響でこの一件が起きたのだと述べている。

2021年F1第9戦オーストリアGP セバスチャン・ベッテル(アストンマーティン)

「昨日、ターン8と9の間のストレートでスピードを落とすということで合意していた。僕がそこでスピードを落としたら、他のドライバーたちが次々に僕を抜いていき、彼らはターン9とターン10の間で減速した。そこではスローダウンしないという話になっていたのに」

「つまり、僕がペナルティを受けるのなら、全員が受けるべきだよ!」

「僕は他にやりようがなかったと思う。念のためミラーを確認したけれど、その時点では見えなかった。最後の最後にフェルナンドがやってくるのが見えた。僕は基本的にあのラップを断念し、どこうとした」

「彼には本当に申し訳ないと思っている。彼は何も悪いことはしていないからね。でも、僕の方も、やれることはほとんどなかった」

■大きなチャンスを失ったアロンソは意気消沈も、ベッテルを非難せず

 アロンソは、予選5番手を獲得できる可能性があったとして悔しがっているが、ベッテルを非難してはいない。

「今日の予選ではこれまで同様に速さがあった。Q1では3番手だったし、Q2では4番手か5番手の可能性があり、Q3では5番手か6番手を獲得できたかもしれない。タイヤを2セット残していたからね」とアロンソは予選後に語っている。

「僕たちの週末に対して大きな打撃だ。もう終わったも同然だと思っている。僕たちにはやれることがない」

「セブは他にやりようがなかったのだと思う。走行中はエンジニアに頼るしかないし、セブ自身というより、チームに責任があるんじゃないかな」

「セブは悪いことは何もしていないと思う。彼の前には何台かマシンがいたんだ」

2021年F1第9戦オーストリアGP フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)

 Q2終わりにターン9入口でスローダウンしたとして、カルロス・サインツ(フェラーリ)とバルテリ・ボッタス(メルセデス)の行動が審議対象になったが、どちらに関してもスチュワードは、その前に大勢のドライバーが列を作っていたため、彼らだけをとがめることはできない判断、ペナルティは科さなかった。

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