学年ソングを作詞作曲 何げない日々の大切さ、五線譜に希望込め

未来への希望を込めた学年ソングを作った高月さん(左)と荒木さん=諫早市、西陵高

 諫早市の長崎県立西陵高(田中健司校長)の生徒2人が、高校生活の悩みや葛藤を表現しつつ、コロナ禍で感じた何げない日々の大切さ、そして未来への希望を五線譜に込めた3年生の学年ソング「Take Action」を作った。進学などを控え悩み多き青春時代だが、「夢を信じ叶えよう 輝く未来へ動き出そう」と呼び掛けている。
 高月万奈美さん(17)=3年生=が作詞を、荒木湧雅さん(18)=同=が作曲を手掛けた。同校は、進路選択を控えた3年生たちが前向きに学校生活が送れるような曲をJ-POPから選び、学年ソングとして年間を通して下校時に流している。10年以上続く取り組みだが、生徒自身による作詞作曲は初めて。
 きっかけは新型コロナウイルス問題。2年時の「総合的な探究の時間」で音楽を選んだ2人は、コロナ禍で学校行事も制限され、暗くなりがちな中、「みんなの気持ちが一つになるきっかけになれば」と考えた。
 2年生の1学期に当時の同級生約240人全員にアンケートし、過去、現在、未来について歌詞に入れたい思い、フレーズを尋ねた。高月さんは「夢」や「奇跡」、「つかみ取れ」「限界を超えてこそ青春だ」などアンケートで寄せられた言葉を紡ぎ、悩みや不安を抱えながらも未来を見据えて力強く歩いて行くさまを表現。荒木さんが歌いやすく、親しみやすい爽やかなメロディーに仕上げた。
 3分10秒の手作りの曲は発案から約8カ月たった今年1月に完成。高月さんのピアノ伴奏で吹奏楽部の4人が伸びやかに歌い、CDに収録した。下校時に流しているほか、3年生はスマートフォンのアプリで聴くことができる。
 幼いころからピアノを習うなど音楽に慣れ親しんできた2人だが、本格的な曲作りは初めての体験。高月さんは「完成するのかなと心配だったが、いろんな人から『良かったよ』と言ってもらえてうれしかった。これから受験に向けて不安になることもあると思うけれど、前向きに行動を起こそうという気持ちになってくれればうれしい」、荒木さんは「人生の中でこうした体験ができたのは幸せ。完成までたくさんの人に支えてもらった。卒業しても歌い続けてもらえたら」と笑顔で話した。

「Take Action」

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