「新しい地元の味、知って」 夕食メニュー 波佐見町産イノシシ料理に一新 

波佐見プレート(写真上)、波佐見キーマカレー

 長崎県東彼波佐見町長野郷の「ホテル ブリスヴィラ波佐見」は1日から、レストランの夕食メニューをリニューアルした。同町井石郷の食肉加工販売業「モッコ」(城後光代表)と協力し、町産イノシシ肉を使った料理を提供。町の新たな名物グルメとして売り出す。
 これまで和食と洋食の2種類があったメニューを、ハンバーグがメインの「波佐見プレート」(1500円)、波佐見キーマカレー(1200円)、波佐見ちゃんぽん(1100円)の3種類に一新する。いずれも町で捕獲し、モッコが加工したイノシシ肉を食材に使用。脂身は少ないが、満足感のあるイノシシ肉ならではのおいしさを味わえる。これまでイノシシ肉になじみのない人でも楽しめるようにホテルとモッコが協力してレシピを開発した。
 同ホテルは、九州教具(大村市、船橋修一社長)が2015年に町内初の本格ホテルとして開業。同町の観光客増加にも一役買った。現在は新型コロナウイルス感染拡大の影響下にあるが「収束後、客足が戻った際に備えて、新たな価値を創出しよう」と、昨年11月ごろから夕食のリニューアルに着手した。
 新メニューの目玉として着目したのがイノシシ。田畑を荒らす厄介者として、地元猟友会などが駆除に取り組み、多くが殺処分されている。狩猟免許を持つ町議の城後代表が昨年、町内でイノシシ肉の加工販売を創業。猟師が持ち込んだイノシシの食肉処理と販売を始めた。だが、町で捕獲される年間約850頭のうち食肉処理されるのはまだ約1割にとどまり、地元での消費も鈍かった。
 同ホテルの看板メニューとして打ち出すことで、地産地消の促進や持続可能な農業の実現など同町の「持続可能な開発目標(SDGs)」達成にも貢献する狙い。船橋社長は「うちのレストランでは元々、町産の米や野菜、酒を積極的に使い、地産地消にこだわっていた。新メニューで新しい地元の味を知ってほしい」と話す。モッコの城後代表も「おいしく食べてもらうことで猟師のやる気にもつながる。地域の人たちにもぜひ食べてほしい」と期待する。
 レストランの営業時間は午後6時~9時半。日曜、月曜定休。宿泊客以外でも利用できる。

イノシシ肉を使った波佐見ちゃんぽん=波佐見町、ホテル ブリスヴィラ波佐見

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