「俺が死んだことは悲しむな」中村泰士氏 “遺言” 通りの追悼ライブ 『喝采』など17曲演奏

ビルボードライブ大阪で「G POP」が披露された

昨年12月に肝臓がんのため81歳で亡くなった作詞・作曲家の中村泰士さんを偲ぶ「中村泰士メモリアルG POPライブ」が4日、大阪市のビルボードライブ大阪で開催された。

ちあきなおみの「喝采」(1972年)、細川たかしの「北酒場」(82年)で2度の日本レコード大賞を受賞した中村さんが、音楽人生の集大成として掲げたのが〝G POP〟だ。

〝G POP〟とは「Great(優れた)で、Gentle(穏やか)で、Gold(輝く)な曲」のこと。これを歌い継ぐ活動を続ける中で、病魔に襲われた中村さんは「自分が死んだら派手な葬式はせず、自分のライブを楽しみに来てもらうような場をつくってほしい」と遺言を残した。新型コロナウイルスによる緊急事態宣言のため一度は延期されたが、この日、改めて実現した。

ライブは「喝采」「北酒場」のほか、中村さんが亡くなる直前まで取り組んだ新曲を含む全17曲に、フルバンドが演奏を付ける形で実現。150人の観客が中村さんの〝遺志〟に聞き入った。

ライブを終えた中村さんのマネジャー・神田幸氏は「現役感バリバリな感じでやりたかった。中村先生と最後にしゃべったときに『私のこと分かりますか?』と聞いたら、『君は僕の敏腕プロデューサーや』と言ってくれたんですけど、今日はそれなりのことができたと思います。先生も喜んでくれていると思う」と胸をなでおろした。

神田氏によると、中村さんの命日にあたる12月20日に「一周忌G POPライブ」を開催する方向で調整中とのこと。「俺が死んだことは悲しむな。俺の音楽はあるやろ?」と話していた中村さんの思いは受け継がれていく。

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