政治で女性が活躍するには? Z世代の女性論客3人が提案

TOKYO MX(地上波9ch)朝の報道・情報生番組「堀潤モーニングFLAG」(毎週月~金曜7:00~)。6月14日(月)の放送では、特別企画「モニフラZ議会」を開催。「女性活躍社会」をテーマに、3人のZ世代のコメンテーターとともに議論を交わしました。

◆世界に比べ圧倒的に女性が少ない日本の政治

世界経済フォーラムが発表している「ジェンダーギャップ指数」で、日本は156ヵ国中120位。

項目別のスコアを見ると「経済」、「教育」、「健康」は世界平均を上回っているものの、「政治」は3分の1以下。項目別ランキングでは、ワースト10位となっています。

「女性活躍」に関しては、前政権・安倍内閣時代も大々的に掲げていましたが、なかなか進んでいないのが現状。それはなぜなのか。タレントで起業家の加藤ジーナさんは、答えは1つではなく「いろいろなことにトライしていかないと(世界には)追いつかない」と言います。

一方、食文化研究家で株式会社食の会 代表取締役の長内あや愛さんは「女性が政治にもっと意見を言いやすくなると、より生きやすい世の中に変わっていく」と主張。

女性議員が増えることのメリットは大きく2つあり、まずは今や地方は議員のなり手不足が深刻で、女性議員が増えることでなり手の確保に繋がること。もう1つは「政治に多様な民意が反映できること」。以前、自民党議員連盟の女性議員飛躍の会・共同代表の佐藤ゆかり議員は当番組の取材で「女性議員の参加率が高まることは政治の世界に女性の視点が反映される。女性が体験しているからこそ言える政策分野(出産や子育て支援、シングルマザーへの支援など)がある」と話していました。その言葉に、キャスターの田中陽南も「経験したからこそ強く言えるし、経験者に言われると納得できる」と言います。

現在、日本の議員の男女比率は低く、最も高い参議院でも3割にも届いていません。なお、最も高いのは東京都議会議員で、それでも29.4%。

そして、女性議員が少ない理由について、内閣府が女性地方議員にアンケートを実施したところ、最も多かったのは「議員活動と家庭生活との両立が難しい」で78.6%。その他「政治は男性が行うものという固定的な考え方が強い」、「研修や勉強会など女性候補者を育成する機会が少ない」、「女性として差別されたり、ハラスメントを受けたりする」といった声がありました。

世間では男性はこうあるべき、女性はこうあるべきという固定観念がまだまだ根強いようですが、それを改善するための手段としては、加藤さんは「文化が固定観念を変えていくこともあるが、制度が後押しするところが大きい」と言います。さらには、「国が先立って女性の活躍を推進すれば、企業もそれに追随する。それによって国民の気持ちも変わってくるのではないか」とも。

かたや長内さんは女性議員が少ないことのデメリットについて言及。日本の喫緊の課題である少子高齢化に対し、出産の当事者である女性の声が少ないのは「大きな問題」と警鐘を鳴らします。また、インスタメディア「NO YOUTH NO JAPAN」代表の能條桃子さんは「日本の少子化対策は経済成長のために女性を利用しているというのが前提にありすぎる」と指摘し、「議論の場に女性がいたら、この政策はなかったと思うものが結構ある」と厳しい意見が。そして、「女性が1人だけいても意見は言いづらい、もう少し(女性議員の)割合が増えないと」と訴えます。

◆女性議員を増やすために…Z世代からの提案

では、現状を打破するためにはどうしたらいいのか。加藤さんは「クオータ制の導入」を提案します。これは議員の一定数を女性にするとあらかじめ決めることで、世間では賛否両論あります。しかし、加藤さんはそれを承知の上で「2003年に女性議員を30%にするという目標を掲げ、もうすぐ20年経つというのに全然達成できていない状況を考えると、半ば強制的にやらないと難しい」と憂慮。

クオータ制導入のメリットの1つは、ロールモデルができること。加藤さん自身「憧れの議員がいないから議員を目指そうと思わない」と語り、憧れの存在を作るためにも一定数の人数が必要と説きます。

そんな意見に長内さんは賛成しつつも、クオータ制は「能力主義の否定や男性に不利という意見に勘違いされやすい」と問題点を提示すると、加藤さんは「逆の立場になって考えてみてほしい」と応答。もしも女性と男性で立場が逆だとしても同じ意見なのかと問いかけます。そして、こうしたジェンダーの問題に関しては世代間で隔たりがあると示唆し、「私たちの世代は(ジェンダーを)柔軟に捉えているので、そういった世代が議会に参加できれば変わる」と期待します。

現状を打破するための提言、長内さんは「女性の"noblesse oblige(ノブレス・オブリージュ)”政治で活躍」と掲げます。ノブレス・オブリージュとは、直訳すると"高貴さは義務が伴う”で、「例えば、身分が高い者は果たすべき義務と責任がある。強きものは弱きを助けらければいけないという考え」と長内さんは解説。

日本では古くから「男はしっかりしないといけない」、「男性は女性を守る」といった考えがありますが、そこには美点もあるものの、その潜在意識が社会で活躍する女性に対し「差別しようと思っていなくても働いてしまうのではないか」と長内さんは危惧。一方で、女性にも果たすべき義務と責任が伴うと言い、「それを認知した上で、女性が活躍することが真の女性活躍社会の実現」と明言します。

最後に、能條さんからは「小選挙区制の見直し」という大胆な意見が。現状、議決権が強い衆議院が女性比率10%以下。「そこを変えていかないといけない。今年は選挙もあるので」と危機感を募らせます。

2018年には「日本版パリテ」なる各政党が女性候補者を30%以上出すよう努力する法律ができましたが、現状どの政党も実現できていません。なぜかと言えば、「(候補者の)ポストが埋まっていて立候補させられない」と能條さん。さらに、衆議院は小選挙区制と比例代表制の並立制で、6割以上の議席が小選挙区制で決まりますが「それぞれの地盤で勝てる人がいると(候補者を)替えられない状況が生まれている」と指摘。しかし、比例代表制に重きを置くことで「多様な意見が反映できる」と言い、「女性だけでなく若者やマイノリティーなど多様な意見が通るようにするためにも選挙区制度の見直しを」と切望します。

選挙制度に対しては、加藤さんも疑問を感じることがあるそうで、それは「同じ人が何度も当選すること」。そうなると、議員がどんどん高齢になり、なおかつずっと同じ考えの人たちで話し合うことになるため、「例えば定年制度など、いろいろなやり方が必要」と言います。また、長内さんは女性議員に対しても、現行の制度のなかで何度も当選する方を尊敬すると言いつつも、1人だけが議員で居続ける一強状態には否定的で「他の方も出てこないと、さらには全体数が増えないのもよくないので、制度の見直しは必要」と話していました。

なお、この日は視聴者に「女性政治家を増やすために必要なのは?」というテーマで生投票を実施。結果は以下の通りです。

◆女性政治家を増やすために必要なのは?
男女比率の制定……567pt
環境整備……273pt
意識改革……564pt
その他……198pt

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<番組概要>
番組名:堀潤モーニングFLAG
放送日時:毎週月~金曜 7:00~8:00 「エムキャス」でも同時配信
キャスター:堀潤(ジャーナリスト)、田中陽南(TOKYO MX)
番組Webサイト:https://s.mxtv.jp/variety/morning_flag/
番組Twitter:@morning_flag

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