SBK第4戦イギリス:ラズガットリオグルが2勝を挙げ、チャンピオンシップリーダーに浮上。レイはレース2で転倒喫する

 スーパーバイク世界選手権(SBK)第4戦イギリスラウンドがドニントン・パークで行われ、レース1とレース2でトプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハwith BRIXXワールドSBK)が優勝。レイはスーパーポール・レースで優勝したが、レース2で転倒を喫して20位となり、この結果によりラズガットリオグルがチャンピオンシップトップ、レイが2番手に後退した。

 イギリスラウンドの土曜日は雨に見舞われ、レース1は気温19度、路面温度26度のウエットコンディションで行われた。午前中、やはり雨のなかで行われたスーパーポールでは、ジョナサン・レイ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)が1番手、マイケル・ファン・デル・マーク(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)が2番手、トム・サイクス(BMWモトラッド・ワールドSBKチーム)が3番手を獲得。フロントロウに並んだ。また、SBKに参戦する唯一の日本人ライダー、野左根航汰(GRTヤマハ・ワールドSBKチーム))は、6月21日、22日にスペインのナバラ・サーキットでのテストで負った右手中指の骨折により今大会は欠場することになった。

 ホールショットを奪ったのは、ポールポジションスタートのレイ。2番手にはサイクスがつけていたが、13番手スタートのトプラク・ラズガットリオグル(パタ・ヤマハwith BRIXXワールドSBK)が、素晴らしいスタートを切って3番手付近までポジションを上げると、さらにサイクスを交わして2番手に浮上する。

 2周目にはスコット・レディング(Aruba.it レーシング-ドゥカティ)が2コーナーで転倒。チャンピオンシップのランキング3番手であるレディングが、ここでレースを終えた。一方、トップを走っていたレイがマシンの挙動を乱し、このときラズガットリオグルがレイをオーバーテイク。トップに浮上した。

 路面はウエットからドライへと乾いていく難しい状況で、また、すべてのライダーがスリックタイヤを選択していた。レイは3周目にコースアウトを喫し、ショートカットしてコースに復帰する。レイは転倒を免れたものの、トップを走るラズガットリオグルとの差が広がる結果となった、

 こうした状況のなか、ラズガットリオグルは4周目にしてレイとの差を約3秒とする。さらにファステストラップを記録しながら、トップを維持し続けた。2番手のレイもその翌周にはファステストラップをたたき出しながら、トップのラズガットリオグルを追う。

 このころになると、コース上には陽が射し始め、コンディションはどんどんドライになっていく。11周目、ラズガットリオグルはトップを守り、レイとの差を維持しながら周回を重ねていた。レイの約8秒後方には、3番手のファン・デル・マーク、4番手のサイクス、5番手のアレックス・ロウズ(カワサキ・レーシングチーム・ワールドSBK)、6番手のレオン・ハスラム(チームHRC)、7番手のギャレット・ガーロフ(GRTヤマハ・ワールドSBKチーム)が続いていた。

 12周目、7コーナーでサイクスがファン・デル・マークのインに飛び込むと、二人の争いのすぐ背後にいたロウズが、その先の8コーナーでファン・デル・マークをオーバーテイク。ファン・デル・マークは11コーナーでロウズと接触しかけ、ラインがワイドになった瞬間に、背後に迫っていたガーロフのパスを許す。3番手サイクス、4番手ロウズ、5番手ガーロフ、6番手ファン・デル・マークとなった。

 さらに14周目には、11コーナーの進入でロウズがサイクスのイン側に位置取る。このとき、ブレーキングでサイクスがマシンの挙動を乱してインにつけず、サイクスはロウズ、さらにガーロフの先行を許す形となった。

 3番手に浮上したロウズ。しかし12コーナーでガーロフがロウズをオーバーテイク。ガーロフが3番手に浮上した。しかし残り8周、ガーロフが12コーナーでスリップダウンを喫する。ガーロフは再びレースに復帰したが、表彰台圏内から大きく遅れることになった。

 一方、トップのラズガットリオグルは独走態勢を維持したまま、2位のレイに対し約2.5秒の差をつけてチェッカーを受けた。2位はレイ。3位にはロウズが入り、4位はサイクス、5位はファン・デル・マーク、次いで6位にハスラムが入った。一時3番手を走ったガーロフは、終盤にアルバロ・バウティスタ(チームHRC)と7番手争いを展開。残り4周でバウティスタを交わし、7位フィニッシュだった。
 

■レース2、ラズガットリオグルが2勝目、レイは中盤に転倒

 日曜日のスーパーポール・レースは、空にはところどころ青空がのぞいていたが、ウエットレース宣言で行われた。レースはポールポジションスタートのレイが序盤からレースをリードし、そのままトップでフィニッシュ。2位はサイクス、3位はファン・デル・マークで、4位はハスラム、5位はガーロフ、6位はラズガットリオグルだった。この結果により、レイ、サイクス、ファン・デル・マークがレース2のフロントロウに並ぶことになった。
 
 レース2は気温22度、路面温度36度。サイティングラップでは雨が少し落ちていたが、レースがスタートするころには天候は回復。ドライコンディションとなり、すべてのライダーがスリックタイヤでレースに挑んだ。
 
 好スタートを切ったのはレイ、その後ろには6番グリッドからスタートしたラズガットリオグル、サイクスが3番手で続く。序盤はこの3人がトップグループを形成した。
 
 4周目、2番手のラズガットリオグルが8コーナーのブレーキングでレイのインに入ると、トップを奪って立ち上がり、レースリーダーに浮上した。3番手のサイクスはこの二人から遅れ始めており、ラズガットリオグルとレイの二人によって接戦のトップ争いが展開される。
 
 ラズガットリオグルとレイは0.3秒ほどの差をキープしていた、9周目、8コーナーでラズガットリオグルがややラインを外し、そのすきを突いたレイがコーナー立ち上がりにかけてラズガットリオグルをパス。レイが再びトップを奪った。
 
 しかしその翌周10周目の8コーナーでトップを走っていたレイがスリップダウン。この転倒を受けてラズガットリオグルがトップに浮上する。ラズガットリオグルは、2番手に浮上していたガーロフに対し約2.5秒ほどのアドバンテージを維持したまま周回を重ねていく。
 
 終盤には2番手のガーロフ、3番手のサイクスはほぼ単独走行となっており、その2秒後方には4番手のレディングがつける。一方、序盤からポジションを入れ替えながら接戦を演じていたのがファン・デル・マークとロウズで、二人は5番手争いを展開していた。
 
 ラズガットリオグルはそのままレースリーダーの座を守り、今季3勝目を挙げた。転倒したレイが20位に終わったことで、チャンピオンシップのランキングが入れ替わり、2ポイント差でラズガットリオグルがトップに浮上、レイが2番手に後退している。
 
 2位は、1週前にMotoGP第9戦オランダGPに代役参戦したガーロフ。ラズガットリオグルとともにヤマハ勢がワン・ツーフィニッシュを果たしている。3位はサイクスで、スーパーポール・レースに続き、母国グランプリで2度目の表彰台登壇。4位はレディング、5位にはファン・デル・マークが入った。

2021年SBK第4戦イギリス トプラク・ラズガットリオグル(Pata Yamaha with BRIXX WorldSBK)
2021年SBK第4戦イギリス トプラク・ラズガットリオグル(Pata Yamaha with BRIXX WorldSBK)
2021年SBK第4戦イギリス トプラク・ラズガットリオグル(Pata Yamaha with BRIXX WorldSBK)

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