あの「バイプレイヤーズ」を韓国映画の名脇役で集めたら!?<中編>【勝手に妄想キャスティング企画】

『KCIA 南山の部長たち』COPYRIGHT © 2020 SHOWBOX, HIVE MEDIA CORP AND GEMSTONE PICTURES ALL RIGHTS RESERVED.

妄想キャスティング③クァク・ドウォン

とことん腹黒で! タバコと色付きメガネも揃えます。

3人目は、出てきただけでムカつく(褒めてます)クァク・ドウォン。お腹のベルトの上に「貫禄」「腹黒」という名の肉をたっぷりつけたこの人、『ベルリンファイル』(2013)といい、『弁護人』(2013)といい、『アシュラ』(2016)といい、イヤ~な人間、卑怯な役どころをやらせたら、右に出る者なし。

横柄、陰険、人としてどうよ?な単語がよく似合い(褒めてます)、歳をとったら確実に古狸タイプな彼だが、『哭声/コクソン』(2016)では初主演を果たす快挙に(しかも韓国の映画賞を総なめ!)。

『哭声/コクソン』おうちでCinem@rtにて配信中 (C)2016 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION

ドラマ「ファントム」でもソ・ジソブ演じる主人公の相棒となっていくふてぶてしい刑事を演じていたが、『哭声/コクソン』しかり、いい人すぎない図太い人間性が出ちゃうのが彼の味だ。『KCIA 南山の部長たち』(2020)でも裏切らなかった! 国を追われた中央情報部(KCIA)の元トップで裏切り者の役を、実にイヤ~な感じで見せている。

シェアハウスでは、「ほんとは俺、そんなに嫌なヤツじゃないんだけどな」とボヤくのだけど、そのボヤきがすでに嘘くさく聞こえてしまうようなキャラクターで登場(タバコは、まだ結構残ってるよ、もったいない!というくらいの贅沢な吸い方がよい)。KCIA元部長役同様、色付きメガネでお願いしたい。

妄想キャスティング④コ・チャンソク

出てくるだけで心温まる、コミカルかつ奇妙な役どころ

物語に緊張感を与える系俳優が2人きたところで、ユ・ヘジンとは違ったタイプのコミカルパート、癒やしパートを担う役者を投入。4人目は、コ・チャンソクを抜擢だ。

韓ドラファンなら、「ボーイフレンド」ソン・ヘギョ&パク・ボゴム演じる主演カップルのキューピッド的存在を担った運転手役などで、ご存知の人も多いだろう。

映画界では、チャン・フン監督作品の常連で、なんといっても『義兄弟 SECRET REUNION』(2010)で演じたベトナム人ブローカー役が強烈な印象だった。短い出演シーンなのに、面白すぎて、もう一度見たいくらいだ。『高地戦』(2011)での自慢話好きの古参兵役もよかったなぁ。『ハロー!?ゴースト』(2010)では、死ぬことばかり考えている主人公に取り憑く“ヘビースモーカー・ゴースト”なる奇妙なキャラクターを妙演。日本映画のリメイク『Be With You 〜いま、会いにゆきます』(2018)では、ソ・ジソブ演じる主人公を支える親友役に。

ジソブと同い年設定についての論はさておき、彼が出てくるだけで温かい気持ちにさせられるので、シェアハウスの地縛霊(むしろ守護霊か)役なんて、どうだろうか。


TEXT:高橋尚子(編集・ライター)

Edited:野田智代(編集者、「韓流自分史」代表)

© 株式会社エスピーオー