生産者から直接仕入れる食材を驚きの一皿に。粋な極上イタリアン

長浜に受け繋がれる、江戸時代の温かみ

2020年12月にオープンした[ビワコラージュ]は、長浜市の中心市街地の活性化を目指す再開発事業の一環として、山形のイタリアンの名店・アルケッチァーノ監修のもと立ち上げたイタリアンレストラン。江戸時代からある古民家の良さを残した空間や、料理の完成までがシェフの解説付きで目の前で楽しめるオープンキッチンなど、心躍る工夫がなされている。特に二階は、”かくれんぼ”を思い出すような小さな入口や低い天井から、一歩踏み出すと天井が高く開放感のある雰囲気になったりと様々な表情を持つ空間の演出を楽しめる。

古民家の元の形を生かした隠れ家のよう。

デートで行きたくなる雰囲気。

シェフ自らが監修したこだわり空間。手前は一枚板のカウンター。

繊細な味わいのイタリアンに出会える

[ビワコラージュ]では、塩とオイルと素材の組合せで味を作り出すのが特徴。ブイヨンやコンソメなど、お店で作れるものは全て一から作っているというからびっくり。素材同士を組み合わせて創り出す料理の手法ながらもしっかりと味がして、素材自身の味を楽しめるようになっている。
ランチコースの1つであるPasta Setは、前菜の盛合せ+選べるパスタ+デザートの構成。前菜に使われていた紫芋は、鹿児島県の種子島産で、皮が白いのが特徴。高温でローストした紫芋は、甘味や旨みが凝縮されている。熟成されたスルメイカで作るトマトのパスタは、イカの食感がもっちりして新感覚!パンナコッタとチョコレートプリンを挟んだクッキーシューは、カリトロの食感で美味しい~!
※季節や仕入れ状況により内容に変動があります。

Pasta Set 2500円(前菜の盛合せ+選べるパスタ+デザート)

パスタは、3種類の中から選ぶことができる。写真のパスタは、岡崎農園のフルーツトマトと飛騨高山で作られたルッコラを使用。

クッキーシューに挟まれたパンナコッタは、ゼラチンではなく卵白で固めている。卵黄を使った料理で大量に出る卵白を有効活用。

イタリア製スライサーでカットされる、舌の上でとろける極薄の生ハム

[ビワコラージュ]のこだわりの1つである、イタリアから輸入した生ハムスライサー。こちらは、0.5ミリの薄さでスライスでき、舌の上にのせると口の温度でとろけてしまうほど薄く、本来の味わいを楽しむのにはピッタリらしい。実際にスライスしていただくと、かつお節と見間違えるほど薄くてびっくり!もちろん生ハムもこだわっていて、22ヶ月熟成の伝統製法で作られた生ハムは、1本1本職人の手で骨を抜き、紐でしばって仕上げた柔らかくふんわりした食感が特徴。イタリアから取り寄せたスライスしたての生ハムは、イタリア人を羨ましいと思ってしまうほど美味しかったです♪

スライスする様子がカウンターから見えるような設計でレイアウトも考えているこだわりっぷり。

食べたことのない料理に感動の連続

Course KURA 7700円(前菜4品、お肉と魚のWメインなど全8品)

1.人参 / ババロア 人参をふんだんに使ったババロアで、食べた瞬間に消えていく滑らかな舌触りのおいしさ。
コンソメのジュレが透き通る透明度で見た目にも美しい。

2.天然鰆 / 岡崎農園 満月の日の海水から作るお塩が添えてある何ともロマンチックな1皿。
熟成させた鰆は、刺身のようなしっとりとした身なのにパリっとした皮が素晴らしいコンビネーション。

3.プロシュート / 水牛のモッツアレラ / 卵黄
先程ご紹介した生ハムに、ミルク感とコクが強い水牛のモッツアレラと卵黄を合わせていただく。
実は、卵黄はパルミジャーノチーズに漬けておいたもので、チーズの塩味と水分が抜けた卵黄のもっちりとした食感が生ハムに凄く合う。

4.新玉ねぎ / グラタン
今まで食べてきたグラタンの常識をひっくり返すクレープで包まれたグラタン。
クレープ生地がマカロニの役割をしてあり、玉ねぎの甘さと風味を凄く感じられ、黒トリュフのソースとマッチしている。

日付の入った特別感のある美しいメニューカード。あまり詳しく書かれていないのは、料理説明の際に様々な想いを直接お伝えするためだそう。

惹きつけられる優しい黄色の人参のババロア。

白い信楽焼の器と赤く染まった紅芯大根のコントラストが美しい天然鰆。

洗練された美しい盛り付けながらも、気取らない味付けで心をがっちりと掴まれるお料理ばかり。

1.高知県産トマト / パスタ トマトソースで使われている岡崎農園さんから仕入れているトマトはみずみずしくて新鮮さを感じる。
お店で手作りされたさっぱりしたリコッタチーズも加わり、爽やかなパスタで重くなくぺろりと平らげてしまう美味しさ。

2.真鯛 / ソテー
10日も熟成させた真鯛を、岩手で採れたビーツのソースと真鯛の頭でダシを取ったクリームソースでいただく。
絶妙な塩気で真鯛の存在を引き立たせて、ビーツの甘味と爽やかなクリームソースで繊細な味に仕上がっている。

3.近江牛 / 煮込み
近江牛の茶色と豆と長人参が、まるで畑のようで大地を感じる。味はもちろん、見た目からも素材の旨みを感じる1皿だ。ナイフが要らないほどのホロホロの厚みのある近江牛は、なんと2時間半しか煮込んでいないそう!煮込んだ後にそのまま1日寝かせることで、ゆっくり冷めていく段階で旨みが肉の中にとどまり柔らかいお肉を提供できるんだとか。

4.ドルチェ
イタリアといえば、ジェラートとパンナコッタ。そんな定番デザートにアレンジを効かせた黒糖ジェラートは、黒糖のコクと甘味を凄く感じるのにすーっとスッキリとした味わい。
パンナコッタは、もう説明が要らないぐらい美味しくとろけてしまう…。

酸味と甘味の比率が絶妙なトマトパスタ。

手間暇かけた熟成は、皮が反らずに綺麗に焼きあがることにも繋がる。

近江牛だけでなく、豆や野菜にも愛情を感じる1皿。

ついつい手が伸びてしまいます(笑)

最後まで期待を裏切らない美味しさ。

納得の美味しさの秘密

食材は、全国の繋がりのある生産者さんの畑に出向き、直接お話をし食材を肌で感じて仕入れている[ビワコラージュ]。ダイレクトに感じることで畑の中で料理を思いつき、お店に出すこともあるそう。これは「生産者さんもレストランの一員。」というアルケッチァーノグループの理念が関係していて、さらに生産者にとってもレストランにとっても「ロスを出さない。」ということも大切にされている。そのため、無農薬野菜の保存力を活かした保存方法や、食材の保存期間を伸ばしながら美味しくさせる”熟成”という技術を使用。もう一つ驚いたのが、皮、根っこでも全部料理に使うのでゴミが出ないということ。どうしても料理に使わない皮や魚の骨でさえも、スープの出汁として利用している。そうしたロスを出さない工夫の裏では、物凄く手間暇のかかる作業が行われているのだ。

シェフ歴16年 市山 技
京都のアルポルトカフェで13年料理長を勤めていた市山シェフ。食材や生産者との繋がりを大切にしていきたいという気持ちがあった市山シェフは、全国の食材を取り入れて生産者と距離が近いことで有名なアルケッチァーノの奥田政行シェフと出会い、この[ビワコラージュ]のシェフとしてここ長浜にきた。

一皿に込めた想いを感じて

「一皿の利益を生産者にお返しする」というコンセプトは、お料理の質を高め、一皿の価値をあげることで生産者から適正価格で仕入れする循環を作ることに繋がるという。信頼した生産者と野菜の質を知っているからこそ、形が不揃いな野菜や売りに出せなかったものでも、そのままの状態で送ってもらい、培われた技術力で素晴らしいお料理に仕上げている。こんなにも、生産者とレストランが深く関わっているレストランは他に類を見ない。様々な想いを感じながら食べる[ビワコラージュ]の繊細なお料理は、いつもと違った特別な気持ちにさせてくれるだろう。

情報
Biwa Collage(ビワコラージュ)
住所:〒526-0059 滋賀県長浜市元浜町13-16
営業時間:ランチ 11:30~14:30(LO/14:00)
ディナー 18:00~22:00(LO/21:30)
電話:0749-53-2831
定休日:火曜日、第3水曜日
駐車場:最寄りの駐車場は市営駐車のホダヤ神戸町パーキング
HP

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