安保違憲訴え棄却 被爆地の声届かず 原告ら憤りと落胆

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 「安保法制は違憲」との訴えが長崎地裁に退けられた5日、原告からは「被爆地の訴え」が届かなかったことへの憤りと落胆の声が上がった。
 「原爆被災の実態から目を背け、司法の責任を放棄した判決だ」。判決言い渡し直後の地裁前。報道陣に囲まれた原告団長で被爆者の川野浩一さん(81)は語気を強めた。他県での集団訴訟判決と変わらない内容に「(原爆が投下された)76年前の歴史を踏まえ、長崎は特別な判断があってもよかった。裁判官には、悲惨な体験に向き合ってほしかった」と嘆いた。
 訴訟で意見陳述した被爆者の築城昭平さん(94)=長崎市=は取材に「(陳述を裁判官に)聞いてもらえたような気がしたけれど、無駄だったのか。司法の意味がなくなっている」と肩を落とした。
 判決後の報告集会で、原告弁護団の福崎博孝弁護士は「判決は『テロや戦争が起こらないと裁判が起こせない』という理屈に終始している。戦争で多くの人が死に、不幸になるという想像力を欠いた、情のない判決としか思えない」と批判。「安保法制違憲訴訟の会」常任幹事を務める飯島滋明・名古屋学院大教授(憲法)も「原子爆弾の被害を受け、他と違う長崎への配慮がない。不当判決は許さないと言い続けるしかない」と語った。