ラーメン屋がない町 出店者を「急募」 SNSでは反応上々

茂木町が作成したラーメン店募集のチラシ

 「急募 ラーメン屋求む!!」。栃木県の茂木町は町内に長期間店がない「ラーメン店」を募る補助事業を始めた。人口は1万1千人以上あるが、誰もが好むラーメンの専門店がない。行政がラーメン店に絞って補助金を出して事業者を募るのは珍しく、ユーモラスなチラシや会員制交流サイト(SNS)の記事が受け、募集開始から数日で現地視察を予定する業者が現れた。

 チラシには「ラーメン好きは日々の楽しみを失い、仕事が手につかない人もいるとか…」などと、若手職員考案のくだけた文言を並べ“窮状”を訴えている。

 「茂木でラーメンが食べられないのはおかしいでしょ」。募集の旗振り役で自他ともに認めるラーメン好きの滝田隆(たきたたかし)町商工観光課長(53)の口調が熱を帯びる。人口減少が続く町で最後の「宝龍ラーメン」が店を閉めて10年近く。道の駅もてぎの名物「ゆず塩ら~めん」は人気だが、町民が日常利用する専門店はなく、「多分ギョーザもない」(滝田課長)。

 そのため町は「ふるさと起業家支援補助金」を設け、町役場近くで昨年夏まで営業していた元居酒屋の空き店舗に入る業者を募る。開店費用の2分の1、上限150万円の補助と月5万円までの家賃補助が2年間つく好条件で、8月末まで受け付ける。

 6月22日には、県よろず支援拠点に支援を依頼。同拠点が翌23日に町の募集事業をツイッターで紹介したところ、今月1日までに約3万の閲覧と2500件余りの好反応があり、県央の2業者の視察につながった。「別の有名ラーメン店も興味を持ってくれている」と町は上々の手応えを感じている。

 同拠点は「ラーメン店に特化した企画が素晴らしい。ノリだけで進む事業ではないが、行政も支援する側も楽しめる取り組み」と、町の柔軟な着想を評価している。

ラーメン店の入居を募集している元居酒屋の空き店舗=1日午後、茂木町茂木

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