議員になったらお中元・暑中見舞いは送れません!政治家が禁止されている寄附行為まとめ

公職選挙法では、選挙の有無にかかわらず、政治家(立候補予定者や現職の政治家など)やその後援団体などが選挙区内の人へ、香典や病気見舞いなどの寄附をすることが特定の場合を除いて禁止されています。

冠婚葬祭やお祭りの際などの対応で禁止されていることはどのようなことなのかなど、政治家が禁止されている寄附行為についてまとめてみました。

政治家ができない「寄附行為」の例

総務省のWebサイト等によると、以下のような行為が「寄附行為」にあたるため禁止されています。

・夏祭りのイベントでご馳走されたからお返しをする・夏祭りなどお祭りへの寄附や差し入れをする・暑中見舞状を送る・お中元やお歳暮を送る・バレンタインデーにチョコをもらった際のお返しをする・駅前の募金活動で募金をする・自身の選挙区に「ふるさと納税」をする・赤い羽根等の募金活動への募金をする・地域の運動会への差し入れをする・入学祝や卒業祝を贈る・結婚祝を贈る・香典を送る

ただし、冠婚葬祭の行事については、政治家本人が出席して行う際には罰則が適用されない場合があります。秘書だと違反になります。

これら以外にも、政治家が選挙区内に住む人に時候のあいさつ(電報も含む)を出すのは、「答礼のための自筆によるもの」以外は禁止されています。年賀状やクリスマスカードを送ることも、公職選挙法では禁止されているのです。

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なぜ政治家の「寄附行為」は禁止されているの?

「政治家と有権者のクリーンな関係を保ち、選挙や政治の腐敗を防止するため」と言われています。金銭や物品の授受によって、政治家が特定の個人や企業・団体を優遇したり、有権者が投票する候補者を決めたりするようなことがないよう、以下のように禁止されています。

【公職選挙法第199条の2】
公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(公職にある者を含む。以下この条において「公職の候補者等」という。)は、当該選挙区(選挙区がないときは選挙の行われる区域。以下この条において同じ。)内にある者に対し、いかなる名義をもつてするを問わず、寄附をしてはならない。ただし、政党その他の政治団体若しくはその支部又は当該公職の候補者等の親族に対してする場合及び当該公職の候補者等が専ら政治上の主義又は施策を普及するために行う講習会その他の政治教育のための集会(参加者に対して饗きよう応接待(通常用いられる程度の食事の提供を除く。)が行われるようなもの、当該選挙区外において行われるもの及び第百九十九条の五第四項各号の区分による当該選挙ごとに当該各号に定める期間内に行われるものを除く。以下この条において同じ。)に関し必要やむを得ない実費の補償(食事についての実費の補償を除く。以下この条において同じ。)としてする場合は、この限りでない。

有権者も気をつけたい「寄附行為」について

「寄付の禁止」があるため、政治家はお中元や年賀状などを送りたくても、送れないという事情があります。この記事を読んでくださった皆さんは、政治家にはこうした事情があることを理解していただければと思います。

また、有権者が政治家に寄附をする行為も、政治資金規正法によりさまざまな制限があります。

個人がする政治家個人への政治活動に関する寄附は、金銭及び有価証券(小切手、手形、商品券、株券、公社債券等)によるものが原則として禁止されており、年間150万円以内の物品等に限られます。
ただし、政治家の資金管理団体や後援団体などの政治団体に対する寄附は、年間1団体につき150万円まで金銭による寄附もできます。
また、政治家個人に対する寄附でも、例外として選挙運動に関するもの(陣中見舞いなど)に限り、年間150万円以内で金銭による寄附をすることができます。
引用:江戸川区選挙管理委員会「政治家に寄附したいけれど、できますか。」

【まとめ】政治家が禁止されている寄附行為

公職選挙法により政治家がお中元を送ったり、地域の運動会に差し入れをするような寄附行為は禁止されています。政治家の後援団体(後援会など)が行う寄附も同様に禁止されています。

冠婚葬祭の行事については、政治家本人が出席し持参すれば罰則が適用されない場合もありますが、私たちが当たり前のように行っている行為が政治家にとっては「寄附行為」とみなされ、公選法違反となる場合が多々あるのです。

このような「寄附行為の禁止」は、有権者と政治家の健全な関係を保つために定められています。

政治家としては、いただいたものにお返しができないという心苦しい部分もあるため、有権者の皆さんには、こうした法律の制限があることを知っておいていただければと思います。

今後もルールを守り、政治家と有権者のクリーンな政治を実現していきましょう。

(執筆協力:佐々木ダイスケ)

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