レストラン品質のマヨネーズを家庭に ミシュラン一つ星のシェフ監修 【にっぽん食べ歩き】

 2018年に開店し、19年、20年と続けてミシュランガイドの一つ星を獲得したフレンチレストラン「sio」(東京・代々木上原)の鳥羽周作シェフ(43)がマヨネーズを監修・開発。従来の市販のマヨネーズを超えた品質だが、「これが基準になってくれれば」との願いを込めて「ふつうのマヨネーズ」と名付け、7月1日に販売を始めた。(共同通信=中村彰)

コース1皿目はマヨネーズだけを味わう

 鳥羽さんは昨年来のコロナ禍の中、飲食店の新たな在り方を模索。おうち時間が増えているため、「レストランのクオリティーを家庭に届けたい」と開発を決意した。

 「ふつうのマヨネーズ」は酸味や塩味が控えめで、角が立たず、まろやか。主材料の卵はこくがあっても味の強すぎないものを選択。酢はワインビネガーを使うことで、ほのかな甘みを醸し出している。

 シンプルさにこだわることで素材の甘みが引き立ち、たくさんの食材にマッチする製品に仕上がった。

 完成までには半年の時間を要した。店で作り上げたレシピを工場に投げ、市販品として製造できるかのテストを重ね、微調整を繰り返した。「レストランのクオリティーを工場で再現するのが難しかった」と鳥羽シェフは振り返る。

「ふつうのマヨネーズ」を手にする鳥羽周作シェフ=東京・代々木上原

 製品の完成を記念して7月7日と14日、5皿からなる特別コース「ふつうのマヨネーズのふつうじゃないコース by sio」を提供(予約制で2750円)。

 1皿目はスプーンにのったマヨネーズそのまま。はじめは少量ずつ口に入れるが、素材のうま味に引かれて、つい一口でぺろりとなめてしまう。

 2皿目は「野菜とマヨネーズ」。ラディッシュ、キュウリ、ニンジン、大根だが、「特別なものではなく、ごく一般的に売られている野菜」だという。野菜それぞれの甘みとうま味がしみじみと感じ取れる。

2皿目の「野菜とマヨネーズ」

 「エビとマヨネーズ」が3皿目。4皿目の「豚肉とマヨネーズ」はお米マイスターが選んだ炊きたてのご飯と提供。肉の脂とマヨネーズの油分が溶け合って、ご飯が進む、進む。

4皿目の「豚肉とマヨネーズ」

 デザートは「アイスとマヨネーズ」。卵不使用のアイスクリームと、マヨネーズの甘みと酸味が相乗してチーズケーキのような味わいに変化した。

 鳥羽シェフは「ふつうのマヨネーズ」をさまざまな食品で試してみた。お薦めはゆで卵や卵かけご飯、卵サンド、ポテトサラダ、タルタルソースなど、卵の持ち味を生かした料理。このほかしょうが焼きやたこ焼き、意外なところではどら焼きに付けると絶妙だという。

 「罪悪感なく使えます。これはマヨラーの夢ですね」と鳥羽シェフは話していた。

「ふつうのマヨネーズ」

 「ふつうのマヨネーズ」は1箱(120グラム×3瓶)3800円(送料別)、3箱セット1万1400円(送料無料)。販売サイトは、https://futsuno.shop/

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