「ズルして勝ってもうれしくない」〝サイン盗み疑惑〟を阪神・矢野監督は真っ向否定

審判団に説明する阪神・矢野監督(右)

阪神は6日のヤクルト戦(神宮)に5―1で快勝し首位の座をキープ。先発・青柳が8回無失点の快投でリーグトップタイの8勝目を挙げた。

梅雨空の下の〝雨柳さん〟の快投。長引く不振に苦しんでいた主砲・大山の久々の先制9号アーチ。交流戦終了以降、打棒低調だった佐藤輝&中野も打点をマークするなど、阪神ベンチは試合途中まではハッピーでにぎにぎしい雰囲気に包まれていた。問題のあのシーンまでは…。

4―0の5回二死一、二塁の場面だ。二走・近本が打席に入った佐藤輝へ何らかの〝サイン伝達〟のような動きをしたのではないかと、ヤクルトの三塁手・村上がアピール。その瞬間、三塁ベンチの矢野監督、井上ヘッドら阪神首脳陣は血相を変えて猛激怒した。

「ゴチャゴチャ言うなや! ボケ! アホ! 絶対やってへんわ!」観客制限下の神宮の杜に、虎ベンチからの怒声が響きわたる。矢野監督は憤怒の表情で眼前の村上を〝ガン見〟。ヤクルトベンチからも「じゃあ(余計に)動くなよ!」との怒声が返されるなど、球場は異様なムードに包まれた。

ついに矢野監督、高津監督の両軍の将がベンチを出て押し問答を開始。審判団になだめられてようやく試合は再開された。

試合後、問題のシーンについて報道陣に問われた矢野監督は「近本の動きがサインを送っていると向こうの(ベンチが)勘違いして言ってきた。俺は現役時代も監督としても(そういう行為は)一回もやったことがないし、もしやっているのであれば、俺の責任でどんな処分でも受ける。もしズルをして勝って優勝しても俺は喜べないし、そういう野球は一番したくない」と〝潔白〟を強調。

「ただ、向こうからすると、近本の動きにも〝そう見えてしまう〟部分もあったみたいだね。俺は近本の動きは見れてないのでコーチから聞いたんだけどね」。ヤクルトサイドの主張にも一定の理解を示しつつ「(近本が)そう思われること自体もったいないんで、今後はもちろんウチは絶対やらないし、頭の中にも一切ないしね。ただ、もしかしたらこちらにも改善しなければならない部分はあるかもしれないね」と冷静に説明した。

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