現代の経営・マネジメントに必要な「実践知」にエビデンスを! 昭和女子大学社会人経営大学院 1年制コースを開講(男女共学)!

2021年4月、昭和女子大学(東京都世田谷区、理事長・総長:坂東眞理子)は新たな社会人向けキャリア教育(経営・ビジネス・人材教育とマネジメント)の場を、「社会人経営大学院」とし、1年制の修士課程を開講した。

キャリア教育にも定評のある昭和女子大学では、実務経験がある社会人に対して学びの場を提供するとともに、知識の体系化、経営・ビジネスでの課題解決能力、組織マネジメント能力、ステークホルダーに対応する見識を持つビジネスリーダー育成に取り組む。

今回開講した保育ならびに医療・福祉の経営者、管理者(リーダー)、行政担当者のための「福祉共創マネジメントコース」では、組織やコミュニティの課題を解決する実践科学を、企業・行政において消費関係実務、企画、経営を担う方向けの「消費者志向経営コース」では、新しい消費社会でステークホルダーと協働し企業と消費者のinteraction(プラットフォームもしくは市場)で活かす手法を研究する。また「消費者志向経営コース」では、「マスター消費生活アドバイザー」の資格の取得も可能だ。

また、2022年4月には、「生活文化研究専攻1年制コース」において公文書管理の専門職員「アーキビスト」を養成するプログラムも開講する。授業は主に平日夜間、土曜日に開講し、オンラインでの受講が可能で、1年で修士号を取得できる。また学費も単位を取るごとに支払う単位従量制を導入し、弾力的な就学で社会人の学びをサポートする。

新規開講ながら、入学者の顔ぶれは多彩だ。「福祉共創マネジメントコース」では、保育園や福祉施設の施設長などをはじめ、専門職リーダー、行政官、起業家、医療関係者、一般企業など、官民を問わず、さまざまな職種の社会人学生が学び、その研究テーマも多岐にわたる。例をあげればきりがないが、例えば、福祉施設運営に際する住宅会社側の福祉的知見の課題、航空会社における旅客輸送時の医療的処置についてなどもテーマの一つだ。このことからもこうして社会人が学ぶ場のニーズがどれほど高く幅広いかを伺い知ることができる。全国各地から入学した学生はオンラインを通して授業を受け、ディスカッションを行い、近郊の学生などは土曜日に感染対策を徹底した上で対面での授業にも臨んでいる。

このコースが設置された背景には、この10年で中堅専門職の大学院入学者の増加がみられ、また働く中でこれまでの経験を科学的にエビデンスのあるものにしたいというニーズが顕在化してきたことにあると、福祉共創マネジメントコースの担当である高橋学教授は話す。

さまざまな現場で、人をいかに動かしていくかという課題は社会活動において共通の課題であり、人が動き、組織が円滑に運営されるためには、納得感や妥当性を与える科学的「エビデンス」が必要となる。学生、また入学希望者から共通してあげられていたのも、こうした人材育成と組織マネジメントの問題だった。これまで、個々人の経験則や慣習的に行われてきたことを、研究対象として可視化し、根拠のある実践知として体系化する。可視化、体系化されることで、人々に共有されニーズの変化に応じた実践が可能となり社会に還元されるという好循環がうまれる。おりしも、コロナ禍の今、「人の生活や生命への実践と経済の両立」に対する「エビデンス」の重要性は、日本にとっても重要な課題だ。

今年度、多くの入学応募があった。1年制で働きながら、平日夜間と土曜の大学院コースで修士号を取得する研究はハードだ。大学側も、履修に際して柔軟に履修できるように対応しているが、研究の充実を図るためにも、1年間で研究を達成するための研究計画を重視している。

学生の研究テーマは多様だが、「実践」を主眼として、実務経験に加えてさらにレベルアップできる履修体系にした。

研究は大学院での1年で終わりではなく、特に実践研究では、学んだ後、卒業後の取り組みに真価が問われるといっても過言ではない。修士号が1年で取得できることは、もちろん魅力の一つではあるが、それよりも課題に対する研究手法を修得することで、さまざまな社会課題の解決に応用できることの方が社会人学生にとっては重要なのだろう。大学側も新しい実践研究の開発や、卒業後の共同研究なども視野に、学生とともに課題解決を進めていけたらと考えている。

人生100年時代を迎え、これからの社会で学習し続けることは不可避といえる。原因を解明し、プログラムを編み出し、実際に実践してみて継続していくところに実践研究の面白さがある。国や行政に頼るだけでなく、必要な人たちに必要な資源をどうやってつくっていくか。研究テーマが、世に出ることで、それに共感し、人が集い、さらに改善されていくようなネットワークや社会循環をどうやってつくっていくか、高橋教授は、今後の展望も話してくれた。

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