【高橋奈七永インタビュー】”夢の時間”を提供したい25周年記念大会、「こんなにやるとは思ってなかった」レスラー人生を振り返る

女子プロレス団体SEAdLINNNG代表取締役・選手である高橋奈七永は2021年7月でデビュー25周年を迎える。

プロレスTODAYでは7月11日後楽園ホールにて開催される『25周年記念大会☆ARIGATOU』への想い、レスラー生活の振り返り、続けられた理由。そして個人・団体の未来について語ってもらったインタビューを前編・後編にてお届けします。

7月11日後楽園ホール大会の各カードについて

― ― 7月11日に後楽園ホールで行われる25周年記念大会の現在発表(インタビュー時は3試合)されている各カードについて聞かせてください。

第3試合 25th ANNIVERSARY スペシャルエキシビションマッチ〜夢の7分間〜
高橋奈七永&中西百重<NANA☆ MOMO☆> with前川久美子
vs
さくらえみ(我闘雲舞)&夏樹☆たいよう

©SEAdLINNNG

高橋 SEAdLINNNGのプロレス自体が基本的にはバチバチしていて、どっちが勝つか負けるかみたいな。勝つか負けるかでその後が大きく変わってくるみたいな試合が毎回テーマというか、刺激のある戦いというのがテーマでやっているので。

― ― 激しい戦いをされていますね。

高橋 こういう引退した選手がもう1回その日だけ復活とかいうと全く違うものになると思うので。今までは「どうなんだろう」って思ったんですけど、25年経った私だからこそできることをやりたいなと思って。それは何でかって言ったら、コロナ禍でみんながいろんなことを我慢している日常になってしまって。最初は「もうちょっと頑張れば」とかがあったけど、いつしかそれがもう日常になってしまって…。

― ― これだけ長引くとは思わなかったですね。

高橋 はい。我慢するのが当たり前の毎日みたいな。いろいろな業種の方がいろいろ我慢したり苦労されてると思うんですけれども。プロレスだからこそできる夢時間をみなさんに提供できないかなと思って、こういう試合をやろうと思いました。

― ― なるほど。まずはタッグを組む「NANA☆ MOMO☆」の中西百重さんとなぜ一緒に組みたいと思ったのですか?

高橋 モモはスターダムにもちょいちょい出てて。今年の3月3日も日本武道館でバトルロイヤルとか出てて。
※スターダムの2020年3月8日後楽園ホール大会にも出場。

― ― そうですね。出てましたね。

高橋 たまに出てるくせにキレとか変わらなくて(笑)

― ― すごいですね。

高橋 はい。

― ― 普通に動けますよね。跳ぶし。

高橋 もうホントに。やっぱり人生プロレスラーみたいな人だと思うので。昔から天才だったし。いつでも多分この人は大丈夫っていうのがあるので(笑)対戦するよりは一つみなさんの記憶に残ることができたのは、NANA☆ MOMO☆っていう時代が絶対にあると思うので。それをまた表現したいなと思って組むしかないなと。

― ― 前川さんはオファーした時には本当は試合をしてもらいたかったんですよね?

高橋 そうなんですよ!6月6日の加藤園子選手の25周年大会で対決してですね。それこそ前川さんは現役を辞められて15年ぶりですよ。大丈夫なのかな?とか思ったんですけども。おととしからSEAdLINNNGの道場にも練習に来られてて。試合の前なんかは多分私よりも道場に行ってたくらい本当に真面目に練習されていたのも知っていたので。それでも、知っていたけど、あんなに現役と変わらない試合をされるとは思わなかったですね。

― ― それはやっぱり驚きました?

高橋 驚きました。やりながら驚きましたし、空気でお客さんが驚いてるのが試合しながらすごく分かりましたね。

― ― 試合中に感じました?

高橋 感じました。今、声を出せない状況ですけど。それでも思わず出ちゃう声ってあるじゃないですか。

― ― ありますね。オーッ!とかワーッ!とか。

高橋 はい。思わず出ちゃう声の大合唱みたいな。だから本当は試合をしてほしかったんですけどもいろいろあって考えてくださって、試合はできないけど、試合以外なら何でもするよって言ってくれたので、「じゃあセコンドについてください」ってお願いしました。

― ― セコンドにつくということは、じっと見ているわけではなく何が出てくるか分からない?

高橋 はい。試合以外なら何でもするって言ったので。

― ― 試合以外は何でもするという風におっしゃってるのですね。

高橋 はい。

― ― これは楽しみです。では対戦相手のさくらさんと夏樹さん、このタッグを決めたのはどういう意図があるのですか?

高橋 悩んだんですけど。まずモモにお願いして決まりました。夏樹にも「やらないか?」って言ったら「やります」と快諾してくれました。そこにホントは前川さんに試合をしてほしかったので。でも前川さんがダメってなった時に、「じゃあ誰?」って思って。うちの若い子、花穂ノ利とかそういう選手にこういう機会だからこの試合に入って味わえないものを味わってほしいなっていう思いもあったんですけど。それでもやっぱり私のレスラー生活の中でかなり影響を受けたさくらえみさんと、この機会だから試合をしたいなというのがあったのでお願いしました。

― ― さくらさんと夏樹さんのタッグはどんな相手になると思いますか?

高橋 さくらさんと夏樹って、実はさくらさんが夏樹の師匠でもあるわけですよ。全女を夏樹が一回辞めて、その後にさくらさんが当時やられてた我闘姑娘(がとうくうにゃん)っていう団体の時に復帰して。これも私とさくらさんで言い分が違うんですけど、夏樹をさくらさんがクビにしたんですよ。クビにして私が引き取ったんですね。「私はクビにしてない」ってさくらさんは言い張るんですよ。ちょっとそこでも意見が合わない部分はあるんですけども。そういう犬猿の中というか、さくらさんは夏樹を苦手?というか、その部分もあると思うので。ちょっとどういう感じになるかは分からないんですけども。

― ― さくらさんは独特なワールドを持ってますからね。

高橋 はい。独特すぎます。

― ― スターダムの日本武道館(3月3日)でも我闘雲舞の選手全員を引き連れて来たりとか。

高橋 あれね。やると思いましたよ私は。さくらえみは絶対何かやるぞと思いました。

― ― あれもなかなかすごかったですよね。仕掛けてきましたよね。

高橋 はい。

― ― じゃあ読めないタッグということですね。

高橋 読めないですね。読めないし、あと夏樹は引退してから一回もレスラーとしては戦ってないので。それは当たり前っちゃ当たり前なんですけど、SEAdLINNNGではハイスピードのレフェリーをして、選手以上に目立ったりとかしてる感じで。試合しているのと変わらない感じなんですけど。それでも夏樹が現役時代に作り上げたハイスピードな試合っていうものに影響されている今の現役の選手って実はわりといるんですよね。なのでこの25周年というのにあやかって、夏樹の少しでも後世につなぐ、そういう大事な魂みたいなものを一瞬でも見せてくれればいいのかなと。

― ― 中西百重さんとコンビネーションとか考えていますか?

高橋 コンビネーションは新しい物は考えないですけど。今までタッグ組んでた時にやってきたことがいろいろあるので。ナナモモダイバーとかできたらいいなと思いますし。

― ― 事前に練習はしますか?

高橋 はい。練習はしたいと思っています。

― ― でも7月11日だとそんなに時間がないですね。

高橋 はい。でも長年のあれがあるので。

― ― 阿吽の呼吸ですね。

高橋 はい。

⇒次ページ(遺恨しかない中島安里紗とのシングルマッチ、王者・朱崇花vs水波綾の王座戦)

― ― 奈七永さんはスペシャルエキシビションマッチをやって、さらに中島選手とシングルマッチもありますね。前回の新木場大会(6月17日)で色々とありましたが、あえて組んだ意図はありますか?

ダブルメインイベント シングルマッチ 30分1本勝負〜GO!NOW!〜
高橋奈七永 vs 中島安里紗

©SEAdLINNNG

高橋 うーん…何でしょうね。私が2020年の1月を最後に欠場に1回入って、足首の大きな手術をしたんですよね。去年の初めの時にはもう1回復帰できるかどうかとかいうのも分からなくて。その前年の2019年に中島と髪の毛をかけて髪切りマッチっていうのをやったんですけど。

― ― だいぶ話題になりましたね。

高橋 はい。その時もう犬猿の仲というか、普段から口もきかないみたいな感じだったんですけど。私はその時点でもう中島と試合するのは最後かなって思ってたんです。そのぐらい2019年というのは足首もめちゃくちゃ痛かったし、「もうこれ以上できねえわ」みたいな状況に自分的には追い込まれていて。その足首の手術をするにしても、プロレスラーとして前例がなかったので、どうなるか分からないっていうのがあったので。これが最後になっても後悔しないようにっていうので自分をさらに追い込むように髪の毛を賭けたとかあったんですけども。でも中島からしたら、髪の毛を賭けて私が負けたから坊主になって、話題も取られてみたいな気持ちも若干あったかもしれない。今回は何も賭かってない。まっさらな。

― ― まっさらな、本当に純粋なシングルマッチですね。

高橋 そう。ベルトもかかってないし。なので、そのまっさらな状態でやるのは中島が入団したいと言った時の試合以来なんですね。それが2017年だったかな。なので結構要所要所で試合をしてきている相手なので、25周年を迎えた高橋奈七永っていうものを点と点で見ていくと、線になった時に現状高橋奈七永を中島を通して、「あ、こうなのね」っていうものが見えてしまうのではないかなという。結果も含め、内容とかテンションとか。中島はそういう唯一無二の相手なのかなと思います。

― ― これを何もないシングルマッチで、正面からぶつかるということをやりたかったのですね。

高橋 やりたかったと言うか、私は今年タッグを組んで、強引ながらも「シトラスの風」という風にタッグを組んでユニットも作って、横に立つことによって、私はこの子を知りたいなと思ってやってきたんですけども。前回の新木場で水波とシングルの挑戦権をかけて試合をした時に私が負けてしまって、そこで水波と握手をしてたらまた蹴り飛ばしにやってきまして。もうすごかったですもん。「おめえきれえだったことを思い出した!」って言われて。どこの江戸っ子だと思って。今年はホントにタッグで景色を変えていきたいと決めてたので若干ショックでしたけども。これが中島なのかなという…

― ― 特に遺恨があるではないかもしれないですけど、何かこの対決に対しての思いはありますか?

高橋 遺恨…遺恨しかないんじゃないですか。今は特に。なんだろうな、タッグを組んできたことを中島は「平和ボケ」みたいな風に表してたんですけど。じゃあ結局あなたは何をやりたいんですか?っていう。何をリング上で示して、どうやってお客さんを楽しませたいんですか?っていうのがやっぱり私は隣に立っても理解できなかったので。何かレスラーとして明確なものを示してほしいですよね。それを私が受けて立ってやりますよっていう思いですね。

― ― 示してほしい、そこらへんを感じてみたいというか。

高橋 そうですね。私がさっき言ったように中島っていうフィルターを通して見てくださいと言ったように、中島からしたら高橋奈七永っていうフィルターを使っていいから、お客さんにどうぞ示してくださいって。

― ― 表現してくれよと。

高橋 うん。

― ― 深いですね。

高橋 うん。深いですよ。

― ― 試合タイトルとしては普通のシングルマッチですけれども意味合いとしては非常に深い戦いですね。

高橋 そうですね。はい。

― ― これは結構なバチバチな戦いになりそうですけども。

高橋 それは間違いないですね。

― ― これは楽しみです。

高橋 はい。

― ― ダブルメインイベントで水波選手が朱崇花選手へ挑戦します。この試合を奈七永さん的には見どころ的なところも含めて、どういう風に感じていますか?

SEAdLINNNG BEYOND THE SEA Single Championship 30分1本勝負〉
〈王者〉朱崇花(あすか)vs〈挑戦者〉水波綾
※第5代王者、初防衛戦

©SEAdLINNNG

高橋 朱崇花がSEAdLINNNGのシングルとタッグのベルト2本巻いてて、2冠なんですよね。ラスエゴ(ラス・フレッサ・デ・エゴイスタス)っていうチームも組んでて。朱崇花に結構流れがいきがちなんですよね。それがやっぱりあの世代では朱崇花が飛び抜けてるものがあると思うし。だからこそベルトが人を選ぶと言いますけど、ベルトが朱崇花を選んでいってるっていうものを、自分からタッグのベルトを取っていったので、余計に思わされているんですけど。アニキ(水波)も今年AEWに行って。

― ― AEWの女子世界王座次期挑戦者決定トーナメントSide Japanを優勝して。

高橋 そうそう。

― ― AEW女子トーナメント決勝戦も制して、最終的にはAEW女子王座戦で志田光選手には勝てなかったですけども、群を抜いてますね。

高橋 そうですね。アニキと去年マックスボルテージっていうタッグを組んだり。復帰戦でもアニキが隣にいてくれたりとか。やっぱりプロレスにおいてすごく話が合うというか、いろんな話を聞いたり夢を聞いたりとかしている仲なんですけど。「絶対アメリカ(AEW)に行って結果を残したいんだ」っていうものをすごい聞いてて。トーナメント優勝っていう日米同時でやったものを優勝してっていうのは一個称号を作って帰ってきたっていうのがあって。今本当に大きくなっている最中だと思いますし。朱崇花にしても水波にしてもAEWに出たりもしているので。日本だけじゃなくってアメリカとか世界からも少しは注目されるカードなんじゃないかなと思います。

― ― 朱崇花選手はジェンダーレスレスラーとして男子ともガンガン当たりますし。

高橋 そうですね。

― ― アニキでパワーファイターだし。アメリカでも人気ですね。

高橋 はい。

― ― でもこの試合が見れるっていうのは後楽園ホール大会で貴重なカードですよね。

高橋 貴重だし、この先ももしかしたら無いかもしれないし。

― ― この2人がシングルに上がるっていうことは無いかもしれないですね。

高橋 そうですね。もしかしたらAEWのトーナメントで当たってかもしれないし。そうなったらもう基準が世界基準になってるというところが、私からしても羨ましいというか、すごいレスラーだなあと思いますし。私を倒してアニキはここに立つことができたわけなので。その時アニキにも「自分がベルトとったら挑戦してきてくださいよ」って言ってくれたので。そういう道筋を私も思い描いて応援したいなとは思います。

― ― そうすると水波選手に取ってもらって、そこにまた挑戦しに行きたいと。

高橋 そうですね。朱崇花からとりたいっていうのもあるっちゃありますけども。

― ― 朱崇花選手からとって水波選手をもう1回挑戦させるっていうやり方もありますよね。

高橋 そうですね。

― ― 水波選手が「挑戦してきてください」と言ったけれどもそういうことも言えるわけですね。

高橋 だから7月11日のこのタイトル戦っていうのがとても重要になってきます。8月も実は6周年大会で後楽園ホール大会(8月19日)があるので、そこにも自然とつながっていくと思うので大事な一戦です。

― ― これは非常に楽しみです。結果いかんによっては大きく変わってきますね。

高橋 変わってきますね。

⇒次ページ(「こんなにやるとは本当に思ってなかった」と語る25年のレスラー生活を振り返る)

レスラー生活25年を振り返って

― ― 後楽園ホール大会の3試合についてうかがいました。大会名が高橋奈七永25周年記念というタイトルですが25年を振り返ってプロレスラー人生はどうでしたか?

高橋 長すぎる(笑)こんなにやるとは本当に思ってなかったので。

― ― 長くやると思ってなかったんですか?

高橋 20周年の時、5年前は「次(25周年)は無いだろうなあ」って思ってたので。

― ― でも25周年を迎えたと。では20周年(2016年)で「もう無いだろうな」と思ってから25周年までのこの5年間ってどうでした?

高橋 自分的には2016年…そのあたりでラウェイとかやってました。

©SEAdLINNNG

― ― 以前のインタビューで2017年を振り返る時に電流爆破をやったりラウェイをやったりと伺いましたが、いろいろやりましたよね。
※2017年のインタビューはこちら⇒

高橋 いろいろやりました。そうだそうだ。20周年の後とかも、もう自分は終わりに向かうかもしれないから、後悔しないように何でもやりたいと思ったことをやろうと思ってラウェイも挑戦したし電流爆破とかもやりましたし。男子の選手とのシングルとかもやりました。

― ― その当時を振り返ったインタビューの中で、「とにかくいろいろやった」という風におっしゃってましたけども、電流爆破・男子の選手とのシングルマッチなどなかなか大変だったと思いますが。

高橋 はい。一番最初は田中将斗選手(プロレスリングZERO1)ですね。それが2016年かな。

― ― 2016年1月後楽園ホールですね。

高橋 そうです。色々ありましたね。

― ― では、さかのぼって全女(全日本女子プロレス)時代とかはどうですか。

高橋 全女時代は本当に人生で大事なことは全女が教えてくれたなって思います。本のタイトルとかでありそうですけども(笑)そういう本を出したいなと思うぐらい人生を強く 生きるためにはみんな全女に入ればいいんだよって…もうないですけど(笑)ぐらい、いまだに全女出身のスタッフの人とかでも会うと「あの時があったから何があっても動じないよね」みたいなことをスタッフさんですら言うので。全女は尋常じゃない団体だったと。

― ― 試合数も多かったですしね。

高橋 試合数もそうですね。年間で250とかしてたのかな…

― ― しかもビッグマッチもいろいろやり、バチバチな対抗戦なども。

高橋 そうですね。だから毎日が必死でしたけど、やっぱり充実してたし楽しかったし。キッスの世界(高橋奈苗、納見佳容、脇澤美穂、中西百重)っていうアイドルグループとかもつんくさんプロデュースでできたりとか。今思えば楽しかったなって。

― ― キッスの世界はCDも出して。

高橋 はい。貴重な経験を、テレビとかも。

― ― テレビも出てましたね。めちゃイケにも。

高橋 はい。出ました。

― ― 確かにすごくいろいろな経験されてますね。

高橋 はい。だからその時に負けない気持ちの大事さとか、努力も大事だなっていうのも学んだし。ホントに強い人しかいなかったんで。自分が勝ち上がっていったりベルトをとったり、目立つためには強くいなかったら落ちていくだけなので。そこでどうにかして生き抜く強さというものが身についたかなと思いますね。

― ― 人生のいろんなことを学んだということですね。やはり全女はすごかったですね。

高橋 はい。すごかったですね。地方大会もいろんなところに行ったんですけど、空き地で試合をする時なんかはまず草を刈って場所を整えるところから始めて、そこでリング設営をして、試合会場にする。それで試合が終わったらバーって撤収して何もなかったかのように次の土地に行くみたいなそういう日常だったから、無ければ作ればいいしみたいな。やらないんだったら私がやればいいんじゃんみたいな感じの考え方です。

― ― できないからやらないねっていう発想じゃなかったっていうことですか?

高橋 ない!だから「できません」とか言う人ホント嫌いです。「え?何で?やればいいじゃん!」みたいな。

― ― できないことはないだろうと。

高橋 ないですよ。やればできるから。人生で大事なことですよね。

― ― 確かにそれは実際に経験されてる方だから言えることかと。

高橋 はい。

― ― 会場がなかったら草を刈って会場を作るなんてなかなかな経験ですね。

高橋 ないですよね。だから全女出身の人たちは気持ちがいいですよやっぱり。ゼロワン(プロレスリンZERO1)の沖田さん(リングアナ)とか。7月22日に新潟大会があるので、一緒にプロモーション活動をしてたんですけども。仙女(センダイガールズプロレスリング)さんの新潟大会(6月27日)に出たんです。全然違う話なんですけどその時も、試合開始の直前に、試合開始、始まるぞ!みたいな空気があるじゃないですか。でも今声が出せないから、そしたら沖田さんが適当に手拍子を始めて。「何やってんの?」って言ったら「え?盛り上げたいじゃん」みたいなことを言い出して。だから私も一緒にやったらお客さんもちょっとポツポツやってくれたりとかして。そういう風な空気で試合が始まるみたいなことをできたらいいじゃんみたいな。でもあの時に俺が笛を持ってたらもっと盛り上げられたって、次の日とかにすごい悔やんでたんですよ。それがある意味の全女魂っていうか。だっての仙女の人でもないし、もしかしたら「うるせえな」って思われるかもしれないし。「でもせっかくここに居させてもらってチケット売らせてもらってるんだから盛り上げたいじゃん」って言うんですよ。そういう考え方が全女だなって。

― ― そういうのに感じるんですか?

高橋 感じます。

― ― 来てもらったら楽しんで帰ってもらう。

高橋 はい、全女魂ですね。

― ― 全女魂があるから男子のトップファイター、田中将斗選手もそうですし、潮崎豪選手ともシングルでやりましたし。それがあるからこの2人に挑んだみたいなのもあるんですか。

高橋 いや~、それは違うと思います(笑)

― ― それは違う?

高橋 はい。それはだって最初イヤでイヤで仕方なかったですもん。怖い。

― ― 怖かったんですね?

高橋 怖かったです。

― ― 弾丸戦士(田中将斗)に当たっていくわけですからね。

高橋 そうです。田中選手と試合する前なんかは…だってあのエルボーとかヤバイのは…もう分かるし。勢いとかすごいし、身体もゴリゴリだし。いや~と思ったんですけど。それでも遠慮しないで逆にきてくれたことが私にとっては勲章だし、素晴らしいレスラーだなと思いました。最終的にスライディングDで記憶飛びましたけど。

©SEAdLINNNG

― ― 逆にそこである程度手加減していたら、もしかしたら記憶は飛ばなかった?

高橋 記憶は飛んでないかもしれないけど、でもここまでやってくれたっていうのが私にとってもそうだし、見たお客さんもスカッとするというか、勇気をもらえると思うし。あとは大谷晋二郎さんとも電流爆破(2018年8月川崎競馬場)でシングルマッチやりました。

― ― 電流爆破やりましたね。

高橋 あの試合とかも結構すごかったですね。だってシングルってだけでハンデみたいなものなのに。電流バットっていうアイテムもあって、結構きつかったです。でもその試合を見て「プロレスで久々に泣いた」っていうお客様がいたりとか。自分がやられても立ち上がっていく姿でそういう風に思いが伝わったんだったら嬉しいなあっていうか、報われるなあと思います。

)

― ― 試合で感じてもらえたら最高ですよね。

高橋 はい。あと潮崎選手はチョップがやっぱり…

― ― あれはものすごかったですね。色がどす黒かった。

高橋 真っ青。

― ― 青いというかもう黒くなってましたよね。

高橋 そうですね。

― ― 試合後の写真はすごかったですね。

高橋 すごかったですね。一発目のチョップで星が飛んで。

©SEAdLINNNG

― ― チョップで星が飛んだんですか?

高橋 はい。びっくりしました。それは初めての経験です。「あ、こんななんだ?!」みたいな。ビビリました。

― ― 日本でもトップクラスのチョップの使い手ですからね。

高橋 そうですね。だからホント試合をしてくださって感謝ですね。

― ― 潮崎選手も全力できて、あの豪腕ラリアット食らってましたがどうでしたか?

高橋 いやもう全部ヤバイですよ。ヤバイけど、そういう試合を経験したことによって私がどんどん強くなるので。あれを食らったんだしみたいな。身体も覚えるし。

― ― 男子のレスラーでも潮崎選手のチョップはホントに嫌がりますもんね。

高橋 うん。みたいですね。この間、仙女の新潟大会で里村選手と鈴木みのる選手と対戦して、鈴木みのる選手は初めてだったんで。なので正直試合前はめちゃくちゃビビってたんですよ。でもやっぱり試合中の鈴木みのる選手の表情が失礼ですけどムカつくんですよ。

― ― 世界一性格の悪い男ですからね。

高橋 はい。さすが世界一性格の悪い男だなっていう。だからすごく私は試合中に火がついたんですね。だから機会があればまたぜひ試合をしたいなと思います。

― ― それはタッグ、シングルどっちで?

高橋 いやー、やるんだったらシングルですかね。

― ― 今度は鈴木みのる選手とシングルやりたいと?

高橋 と思っちゃいました。もう男子とは試合はいいんじゃないかって思ってたんですけども。またどこかにちょっと火がつきました。

― ― それはなかなか挑戦者ですね。新たな目標という言い方は変ですけど、いつか実現したら楽しみですね。

高橋 そうですね。

― ― そういう機会を楽しみにしています。

高橋 はい。

▼前編ダイジェスト動画はこちら

後編の25年続けられた理由、そして個人・団体の未来については近日公開予定ですのでお楽しみに!

高橋奈七永(たかはし・ななえ)プロフィール 【生年月日】1978年12月23日
【出身地】 埼玉県川口市
【身長】 165cm
【体重】 65kg
【デビュー戦】1996年7月14日、全日本女子プロレス、東京・後楽園ホール、対中西百重

初代SEAdLINNNG BEYOND THE SEA SINGLE 王者
第4代爆女王
第58代&第60代 WWWA世界シングル王者
第14代 JWP無差別級王者
初代 ワールド・オブ・スターダム

経歴
アニマル浜口道場出身として1996年7月に老舗団体・全日本女子プロレスでデビュー。
当時、女子プロ界最高峰のベルトと言われたWWWA世界シングル王座(現在は封印)の最後のチャンピオンとして名を連ねる。
全女解散後はSUN→スターダムを経て、2015年8月にSEAdLINNNGを旗揚げ。
2016年末には世界一危険な格闘技・ラウェイに挑戦。2017年はザ・グレート・サスケとのTLCマッチで勝利。
2018年は大谷晋二郎との電流爆破、潮﨑豪とのシングルなどその活動は多岐にわたり、11月には初代SEAdLINNNG BEYOND THE SEA SINGLE 王者、2019年には電流爆破マッチを制し第4代爆女王となった。
2020年1月24日後楽園ホール大会後、左変形性足関節症の手術の為長期欠場に入る。
2020年12月23日、自身の誕生日に奇跡の復活を果たし、2021年7月で25周年を迎える。

「SEAdLINNNG〜高橋奈七永25周年記念大会☆ARIGATOU〜」
日時:2021年7月11日(日)17:00 OPEN 18:00START
会場:東京・後楽園ホール

ー全カードー

〈第1試合 タッグマッチ20分1本勝負〜OPENINNG POP UP!〜〉
花穂ノ利&水森由菜(我闘雲舞)
vs
海樹リコ&笹村あやめ(2AW)

〈第2試合 タッグマッチ20分1本勝負 〜THE SCRAMBLE!〜〉
堀田祐美子&真琴
vs
山下りな&川畑梨瑚

〈第3試合 25th ANNIVERSARY スペシャルエキシビションマッチ 〜夢の7分間〜〉
高橋奈七永&中西百重<NANA☆ MOMO☆> with前川久美子
vs
さくらえみ(我闘雲舞)&夏樹☆たいよう

〈ダブルメインイベント SEAdLINNNG BEYOND THE SEA Single Championship 30分1本勝負〉
〈王者〉朱崇花 vs 〈挑戦者〉水波綾
※第5代王者、初防衛戦。

〈ダブルメインイベント シングルマッチ 30分1本勝負 〜GO!NOW!〜〉
高橋奈七永 vs 中島安里紗

大会詳細はSEAdLINNNG公式サイトにて

© 株式会社リアルクロス