芝浦工業大学ら開発の「CLTエストンブロック」、尾鷲市役所の耐震改修工事で実用化

芝浦工業大学システム理工学部環境システム学科の石川裕次教授(建築構造システム研究室)らが共同研究を進めてきた新開発部材の「CLTエストンブロック」が、株式会社竹中工務店の設計・施工による三重県尾鷲市本庁舎の耐震改修工事で初めて、CLTエストンブロック耐震壁(耐震補強用)として実用化された。

CLTエストンブロックは、2017年から芝浦工業大学と株式会社竹中工務店、北海道立総合研究機構・林産試験場および北海学園大学が共同研究を進めてきた新開発部材。重さは約4kgで、従来のコンクリート製エストンブロックの1/4程度。作業効率の向上が期待でき、作業環境の衛生管理に優れている。

今回、尾鷲市役所の耐震改修工事において、竹中工務店が進める一連の木質系耐震補強技術のひとつ、CLTエストンブロック耐震壁として適用された。この工法は、既存のRC系骨組みに蝶々形のCLT(Cross Laminated Timber)をエポキシ樹脂系接着剤で積み上げ、柱梁骨組みの枠踏みに木質系耐震壁を構築して耐震補強を行う工法。同じく蝶々形のコンクリート製ブロックを積み上げて耐震補強を行う「エストンブロック工法」(2014年に竹中工務店が開発)と同じ設計原理を用いて開発された。資源循環型材料であるCLTを用いた、来るべきSDGs(持続可能な開発目標)実現社会に対応した新しい提案となる。

CLTエストンブロックに関する一連の研究・開発の最終目標について、研究を進める石川教授は『CLTエストンブロックは、建物内に人がいても施工が可能な耐震改修工法です。例えば耐震補強が必要な学校建築では在校生が卒業記念として、耐震補強を行い地産地消やSDGsを実現できる木質材料に触れ、SDGsを学び、地震国で重要な耐震技術や防災について自らの学校を耐震補強するという体験により学ぶ教育として実現することも、将来実現させたい一つの研究目標です』と話している。

参考:【芝浦工業大学】SDGs の実現を目指す新たな耐震補強技術が実用化されました

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