命の海へ お母さんオカヤドカリ、真夜中の大行進 鹿児島・徳之島

海へと向かうオカヤドカリ。波打ち際で「ゾエア」と呼ばれる孵化(ふか)直後の幼生を大量に放出する=徳之島北東端の金見海岸

 鹿児島県の徳之島北東端の金見海岸(徳之島町)で、国指定天然記念物のオカヤドカリが繁殖の最盛期を迎えている。

 奄美地方の梅雨明けが発表された3日、メスが集団で夜の海を目指し、波打ち際で「ゾエア」と呼ばれる孵化(ふか)直後の幼生を大量に放っていた。毎年、梅雨明けごろから7月下旬ごろまで続く自然界の風物。

 オカヤドカリは奄美群島や沖縄などに生息。雑食性で、昼は海岸近くの草むらなどに身を隠し、夜に砂浜や水辺で餌をあさる。

 徳之島観光連盟事務局の浅野綾さんは「よく問い合わせがある島の魅力の一つ。見守る気持ちを大切に観察してほしい」と話す。

梅雨が明け、幼生を放出するために海へ向かうオカヤドカリ
海辺の岩陰に隠れ、漆黒の夜を待つオカヤドカリ

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