【東京五輪】神奈川の事前合宿地、接触にピリピリ マンションの一角に選手滞在「絶対鉢合わせする」

スペイン選手団を受け入れている逗子マリーナ=8日、逗子市

 新型コロナウイルスの感染再拡大で揺れる東京五輪。海外選手団を受け入れる神奈川県内の事前キャンプ地で歓迎ムードは影を潜め、住民と選手の“接触”に神経をとがらせるピリピリした空気が漂う。

 中でもリゾートマンションの一角で選手が合宿する逗子市では、居住者の不安が増幅。「そもそもキャンプ地だと聞いていない」との声もあり、地元自治体は選手と住民の板挟み状態に困惑を隠せずにいる。

 「DO NOT ENTER」(立ち入り禁止)。セーリング競技のスペイン代表チームが合宿中の逗子マリーナ。エレベーター前についたてが並ぶ居住棟は、1~2階に選手団が滞在し、4~7階に住民が暮らす。4日に先行来日したスタッフ11人はすべて陰性で、10日に到着予定の選手23人も空港検疫で検査をパスして現地入りするはずだ。

 しかし、住民たちの不安は尽きない。チームはエレベーター使用が禁じられ、非常階段で行き来するが、「絶対に選手と鉢合わせする」との声が少なくない。上階に住む50代女性は「もし感染したら、どうするのか」と表情を曇らせた。

 「ここに海外チームが来るらしい」。他の棟に住む女性(77)は選手団の来日直前にうわさ話を聞きつけ、耳を疑った。化学物質過敏症で新型コロナワクチンを接種しておらず、「住民が感染したら誰が責任を取るのか。そもそも受け入れに同意していない」と憤る。

© 株式会社神奈川新聞社