【高校野球】東北にまた現れた「怪物右腕」 最速153キロ…スカウトが惚れ込んだ“ずば抜けた能力”

ノースアジア大明桜・風間球打【写真:荒川祐史】

風間は3月の練習試合で153キロを計測「指のかかりが違った」

メジャーリーグのオールスターに日本選手が3人選出されている。大谷翔平投手(エンゼルス)と菊池雄星投手(マリナーズ)は岩手県出身で花巻東高卒。ダルビッシュ有投手(パドレス)は宮城・東北高出身と、いずれもアマチュア時代を東北地方で過ごした。好投手を輩出する土壌のある東北地方に、今年もまたドラフト戦線を賑わせそうな右腕がいる。ノースアジア大明桜3年の風間球打(きゅうた)投手だ。

今年3月30日の練習試合。明桜は栃木県で国学院栃木と対戦した。この試合で風間は、これまでの最速を3キロ更新する153キロをマークした。

「秋田と違って暖かかったので上がったのかなと思います。遠征するまでは球速が上がりづらいのではないかと思っていましたが、指のかかり具合が違ったので球速が出た手応えがありました」

最速135キロで高校に入学した風間は1年夏の準々決勝で138キロをマーク。一冬越えて球速はグンと伸びた。昨年5月の紅白戦で147キロを出すと、夏には148キロ、149キロと最速を更新し、準々決勝でそのストレートは150キロの大台に乗った。そして、今年の春先早々に153キロを計測。昨年、140キロ中盤だったアベレージは140キロ後半に上がっており、150キロ台もコンスタントに叩き出す。試合終盤でも球速が落ちない。むしろ、9回に「ギアを上げた」と150キロ台を連発した試合もあった。

高校で球速を上げ続けてきた風間。スカウトからは「球の質がいい」「ボールを叩ける」「リリースが器用」といった声があがる。身長183センチだが、190センチ近い投手のような高いリリースから投げ下ろし、スピンのかかった威力あるボールを放る。ソフトバンク・作山和英スカウトは「リリースの強さがずば抜けている。一流と言われる投手が持ち合わせている資質。教えてできることじゃない」という。

ノースアジア大明桜・風間球打【写真:荒川祐史】

高知・森木、市和歌山・小園とともに「高校ビッグ3」の声があがる

変化球も磨いてきた。高校入学時、スライダーの曲がりが大きく、本人曰く「カーブとほぼ一緒」。それまで曲げるイメージで投じていたというが、輿石重弘監督からストレートと同じ腕の振りで、切る感じで投げるように助言を受け、コツをつかんだ。カーブはタイラー・グラスノー(レイズ)の縦割れの軌道をイメージする。こうした軌道や変化量、握り、スピードはその時々でよりよいものを求めて変えている。現状維持はしない。

運動能力も高い。輿石監督は中学生の風間を見た時、「何をやっても身のこなしがいい。この子は素質があるな」と感じたという。そして、高校3年で150キロの速球を投げているイメージを描き、「そういう風に育てよう」と決意した。風間も「スポーツはほとんどできる」と自信を持つ。中でも「サッカーが好き」だと言い、その実力は保健体育を受け持つサッカー部顧問も舌を巻くほどだという。

体育の授業にあるダンスでもセンスを発揮。「サッカーもダンスも上手。何をやっても上手です。びっっっくりするくらい上手い。普通のレベルじゃないですよ」と輿石監督。チームメートも風間にはサッカーやダンスが得意な印象が強く、スポーツ万能であることがうかがえる。

着実にポテンシャルを伸ばし続けてきた風間。スカウトからは「高校生で5本の指に入る」や、森木大智(高知)、小園健太(市和歌山)とともに「高校ビッグ3」、そして「ドラフト1位」といった声が上がる。高校野球の集大成を迎える夏。球速の目標を最速158キロに定める右腕はどんなパフォーマンスを見せるだろうか。(高橋昌江 / Masae Takahashi)

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