『枝野内閣』の青写真とは?衆院選の勝算は何パーセント?!乙武洋匡が枝野幸男代表に迫る!

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今回は2021年5月16日に公開された対談の様子をご紹介。ゲストは立憲民主党・枝野幸男代表です。枝野内閣の青写真や政権交代に向けた戦い方について伺いました。

 

立憲民主党が政権を取ったらどうなるの?

最初のテーマは、政権奪取後のビジョンについて。
枝野代表は、「みんなが欲しがっているものを売りに出さないと経済はまわらない」と話し、「医療・介護・保育など、自分の力だけでは大変なときの安心を飛躍的に高め、そのことで経済をまわしていくようにする。これが今の政権と決定的に違う、我々の目指す社会です」と述べました。

これに対し乙武氏は、「それにはお金がかかる。増税するのか何かを削るのか、どうしていくつもりなのですか?」と尋ねます。

枝野代表は、「まずは何かを削るところからだが、段階的にやっていくしかない。景気が悪いと10兆円、20兆円と景気対策を打つが、そのお金を看護師や保育士などの給料を上げることに使えば、かなりの金額が使える。従来的なところじゃなく、今ニーズがあるところにお金を回していく」と話しました。

増税については、自身の責任も認めたうえで、「ここ20年程は政治全体が間違えた対応をとっていた」と話します。

「“増税しても結果的に社会保障が充実していない“とみんなも気付いた。消費税の税収分とほぼ同じ額で所得税や法人税が減収になっているため、ここを改めないと先へは進めない」と説明。「“公的サービスがこれだけ充実しているのだから納税をお願いします“と言えるのは、10年先だ」と枝野代表は話します。

それまでの対応策として、借金で回す、従来型の経済対策をシフトする、儲かっている企業の法人税をあげる、高額所得者の所得税をあげることなどを例に挙げました。

枝野代表曰く、同じ金額を使うのであれば、道路を作るよりも介護に回した方が、経済波及効果は大きいのだそうです。

「災害時の避難道路など必要な道路もあるため、そこまで減らそうと言っているわけではないが、“景気対策としての公共事業“よりは、むしろ社会保障の人件費に回したほうが経済効果としても大きい」と話しました。

 

枝野内閣の青写真

乙武氏は、「立憲民主党が政権を握ることへの一抹の不安として、人材不足という声も聞こえてくる」と紹介します。

それに対し枝野代表は、「我々は、政府のなかで仕事をした人間が衆議院の現職議員に60名おり、そのうえで大臣経験者が20名程度いる。人材という意味では2009年よりも今のほうが上回っている」とハッキリ答えました。乙武氏は次に、「枝野幸男はトップに向いているのかNo.2に向いているのか、どっちですか」と尋ねます。

「もともと官房長官になりたいと公言していたし、向いていたとも思うが、次に政権復帰するときはトップでと思いながら準備してきた。内閣を作るときの官房長官と幹事長も準備できているから大丈夫。当時の枝野官房長官や枝野幹事長よりも立派な仕事をする人材はいる」と改めて力強く話しました。

政権交代に向けての戦い方

乙武氏は、「野党共闘していくうえでネックになる部分、立憲民主党として妥協できる部分はどのようにお考えですか」と質問。

枝野代表は、「他党との連携や協力は0か100ではなく、それぞれの立場や譲れない線があるなかで、意見が違う部分をお互いどれだけ許容できるかだと思う」と話します。そのうえで、「小選挙区制度なのだから、一発単独政権もあり得ると思っている。投票率が10ポイント動けば政権交代する。向こうが5ポイント下がってこちらが5ポイント上がれば、政権は一気にひっくり返る」と話しました。

これに対し乙武氏が、「前回は政権交代が起こるのではという高揚感があったが、今は感じられない」と述べると、「高揚感なき政権交代でないと同じ失敗をする。政権交代はもっと普通に起きるべきで、次に求められているのは安定感。枝野のほうが安定感があるんじゃないかと思ってもらえる選挙にしたい」と意気込みました。

「そのために足りていないことは何ですか」と乙武氏は尋ねます。枝野代表は、「社会党が第1党じゃなくなって以降の民主党系の野党党首として、連続最長であるが、党内での揉め事は何も起こしていない。これだけ安定した状況は過去にない」と安定感をアピール。

衆院選への勝算を尋ねると、「やってみなきゃ分からないところまではきている。3割以上はあるだろうと思っている」と話しました。

 

枝野幸男氏プロフィール

1964年栃木県生まれ。東北大学法学部卒業後、弁護士業を経て政界へ。日本新党の候補者公募に合格し、1993年衆議院議員に初当選。以後再選を重ね現在は9期目を務める。旧民主党政権時には内閣官房長官等を歴任した。2017年には自身を中心に旧・立憲民主党を結党。解党後に結党された新・立憲民主党でも代表を務めている。

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