【MLB】3回6失点のダルビッシュに現れた“不調のサイン” 股関節不安は球宴に影響も…

ナショナルズ戦に先発したパドレス・ダルビッシュ有【写真:AP】

ティングラー監督「明日以降の状態を見て考える」

■パドレス 9ー8 ナショナルズ(日本時間9日・サンディエゴ)

パドレスのダルビッシュ有投手にアクシデントが発生した。8日(日本時間9日)、本拠地ペトコ・パークでのナショナルズ戦に先発し、今季ワーストの3回8安打6失点。ジェイス・ティングラー監督は降板について、左股関節周辺の筋肉の張りが原因と明かし、「今はこれ以上のことは分からない。明日以降の状態を見て考える」と話すにとどめた。選手間投票で4年ぶり5度目の選出となった、13日(同14日)のオールスター戦での登板にも影響する可能性が出てきた。

初回1死からターナーにソロ本塁打を浴びた。その後も3長単打を続けられ、立ち上がりに3失点。2回は3者凡退としたが、先頭から3連打と犠飛などで効果的に攻められ再び3点を献上した3回、捕手からの返球を受けると左足を上げて、付け根を気にする場面があった。

球数は64球だったが、ダルビッシュは3回限りでマウンドを譲った。ティングラー監督は「数試合前から腰の張りがあった。投球には問題なく先発したが、左股関節周辺の筋肉の張りを訴えた。本人は投げたがったが、股関節周辺が硬くなったので降板させた」と降板の経緯を述べた。

前回登板で兆候はあった。

今季3敗目を喫した3日のフィリーズ戦では、左股関節と関係すると思われる足元の動きが見て取れた――。かかと寄りに重心がかかり、抜けるボールが数球あった。この点に水を向けると、不調時にはつま先重心になる傾向が強いことから、無意識にかかと寄りの重心になっていた可能性があると説明した。

不調のサイン「僕がよくないときは、つま先重心になって上半身が倒れる」

「僕がよくないときは、つま先重心になって、上半身が倒れるんです。(2018年の)カブスでよくなかったときもそうです。で、真っすぐを引っかけてしまうから、カッター、スライダーしかなくなって。カッター、スライダーもそうなると、曲がりが早くなるので、全部捉えられるようになってしまうんですよ」

この日は、シュート回転して抜けるストレートが目立った。左足がやや左バッターボックス方向に踏み出し、上半身の回旋に本来の鋭さがなかった。かかと寄りの重心と硬くなった左股関節は密接につながり、精彩を欠いた投球の一因となっていたことが推測できる。

メジャー通算79勝の黒田博樹氏と並ぶ、日本人歴代2位を目指した前半戦最後の登板を、思わぬ形で退いたダルビッシュ。レンジャーズ時代の2017年以来、4年ぶり5度目の選出となったオールスター戦で、大谷翔平との対戦が大きな注目を集めているが、投手にとって大切な部位を痛めてしまっただけに、慎重を期すことになるであろう。(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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