【フィギュア】羽生結弦 未曽有の東京五輪への思い語る「こんな時だからこそ…」

東京五輪への思いを語った羽生結弦(代表撮影)

フィギュアスケートのアイスショー「ドリーム・オン・アイス」(神奈川・KOSE新横浜スケートセンター)が9日、有観客で開催され、五輪2連覇の絶対王者・羽生結弦(26=ANA)が未曽有の状況下にある東京五輪への思いを口にした。

この日は「X JAPAN」のボーカル・Toshlの「マスカレイド」に乗って華麗な演技を披露。新型コロナウイルス禍の中、マスク姿で駆け付けたファンの温かい拍手を浴び、銀盤の中央で一人ひとりに向けて手を振った。

6年ぶりに出演したことについて、羽生は「やはり皆さんの前で滑りたいっていう気持ちが強くありました。昨シーズン、試合に出るたびに『自分が演技するたびに誰かの役に立つんじゃないか』とか『何かを感じていただけるんではないか』、そういったことを皆さんのために少しでもやりたいなと思って、少しでも多くの場所で、機会で滑りたいと思い、出させてもらいました」と話した。

今後はカナダに帰らず、日本を拠点に練習を積む。「昨シーズンの経験も踏まえて、日本で一人で練習しても成長できるんだということを感じてはいる」と確信を持っているという。

自身は2022年北京五輪へ向けてスタートを切る。すでに1都3県の無観客開催が決まっている東京五輪についての思いを問われると、羽生は「僕は選手の立場なので、ハッキリ言ってしまえば、観客の方々が直接声援を送っていただけるとか、足を運んでいただけるとか、そういったことに何か声を上げることはできないんじゃないかなと思っています」と率直な感想を口にした。

さらに王者は「選手の立場から言わせていただけるんであれば」と前置きした上で、こう続けた。
「オリンピックは選手にとっての夢の舞台であり、競技によっては一番欲しい夢の舞台だと思います。その舞台で一生懸命やることには変わりないと思いますし、こんな時だからこそ…僕らだったら『演技』って言っちゃうんですけど、こんな時だからこそのレース、こんな時だからこその感動みたいなものが生まれるのではないかなっていうふうに思っています」

いつものように言葉を慎重に選びながら、前代未聞の状況で東京五輪を目指すアスリートたちへ、実直な思いを伝えた。

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