羽生結弦が語った〝熱量〟 「金」より「4回転半」への思い

幻想的な演技を見せる羽生結弦(代表撮影)

フィギュアスケートのアイスショー「ドリーム・オン・アイス」(神奈川・KOSE新横浜スケートセンター)が9日、有観客で開催され、五輪2連覇の絶対王者・羽生結弦(26=ANA)が今シーズンに成功を目指す人類初のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)への野望を語った。

この日は大トリで銀盤に登場。いつものように指先までの完璧な「美」を体現し、マスク姿の観客から大きな拍手を浴びた。演技に入る前には自身の「最大の夢に向かって」という言葉が会場に流れた。その「夢」とはもちろん4回転半に他ならない。

演技を終えた羽生は「今すでに1公演でヘトヘト」と苦笑。4回転半について「そこまで練習はできていません」と言いつつも「昨シーズン頑張ってきた体をいたわりつつ、アクセルの基礎の練習だったり、イチから4回転半に向けて作り直す作業をしっかりできたと思っています。これからシーズンに向けて本格的に4回転半の練習をしていきたい」と突き進んでいる。

さらに、羽生は「試合の機会がないと4回転半を決めても意味がない」「試合で決めたいなという気持ちが強くある」とこだわりを口にして、「その機会を少しでも持てたらいいなと思って」と、今季はGPシリーズ第4戦のNHK杯(11月12日開幕、東京)、第6戦のロシア杯(同26日開幕、ソチ)に出場する。

すでに五輪で2度の金メダルに輝いた王者は2022年北京五輪について「平昌シーズンみたいに絶対に金メダルを取りたいという気持ちは特にありません」「平昌シーズン、ソチの時のような〝熱量〟はないと自分の中では思っています」と言い切る。その理由は、次のセリフにあった。
「必ずこのシーズンで4回転半を決めるんだっていう強い意思はあります。しっかりその意思、決意をもって、シーズンに挑みたいと思っています」

数々の金字塔を手にしている氷上の絶対王者。その目の先には「金メダル」ではなく「4回転半」しかないようだ。

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