借金生活に転落の王者ソフトバンク 苦境で起きている球団初の“異変”とは?

ソフトバンク・工藤公康監督【写真:藤浦一都】

最後にPayPayドームで勝ったのは6月9日の広島戦…

■オリックス 8ー0 ソフトバンク(9日・PayPayドーム)

ソフトバンクは9日、本拠地PayPayドームでオリックスと対戦し、8-0と大敗した。先発の武田が吉田正に先制ソロを浴びるなど2被弾し、投手陣全体で4被弾。打線は山本の前に散発6安打に終わり、ついに借金生活に陥った。

本拠地PayPayドームでの「鷹の祭典 2021」初戦は惨敗だった。先発の武田が3回に吉田正に先制ソロを被弾。4回には若月に2ランを許し、5回途中4失点でノックアウトされた。2番手の田浦が6回にT-岡田に、さらに3番手の松本も7回にT-岡田に2打席連発となる3ランを浴びた。計4発を許し、大量8点を失った。

打線も山本の前に沈黙。6回まで毎回安打は出たものの、連打が生まれず、散発の6安打。最後まで得点を奪えず、工藤公康監督は「最後の1本を許さないというのはさすが。そういうところじゃないですか」と力なく脱帽だった。

今季83試合を終えて34勝35敗14分となり、ついに借金生活に突入した。今季でいえば、4月4日以来の借金だが、シーズンも半ばを過ぎたところでの借金生活は2018年8月にまで遡る。首位のオリックスとの差は5.5ゲーム差まで広がり、厳しい状況となっている。

苦しい状況からなかなか脱することのできないソフトバンクだが、その戦いぶりにも大きな異変が起きている。というのも、とにかく本拠地PayPayドームで勝てていない。最後にドームで勝ったのは6月9日の広島戦だ。

2005年以降、負け越したことのないドームで今季は14勝16敗7分と借金2

その後、主催試合で勝ったのは北九州での開催。実に1か月もの間、ホームでの白星がなく、その間は6敗3分となっている。これほどの間、ドームで勝てないのは、ソフトバンクホークスとなった2005年以降では1度もない。

元来、ソフトバンクはホームで圧倒的な強さを誇ってきた。2020年は60試合で40勝19敗1分で貯金21。優勝を逃した2019年でも37勝25敗2分と貯金12を残している。2005年以降でドームで負け越したシーズンは1度もなく、ワーストの成績だった2008年でも33勝32敗3分の貯金1だった。

ホームでの圧倒的な強さを武器に、毎年のように優勝を争う常勝軍団となったソフトバンクだが、今季はこの日の敗戦で14勝16敗7分と2つの負け越しに。序盤は浮き沈みこそあれ、勝ちを積み重ねていたものの、ここに来て、急激にホームで勝てなくなっている。

球場別での打撃成績を見ても、ホームゲームにおけるチーム打率が、他のパ・リーグ球団の球場よりも低くなっており“外弁慶”の傾向が出てきている。一時期、無観客開催の中で戦っていた影響があるのかもしれないが、それにしても勝てていない。

この日の試合後に「1-0で負けるのも、10-0で負けるのも負けは同じ。切り替えてまた明日というところ。今日の負けを明日に結びつけていかないといけない」と語った工藤監督。ファンの後押しのある本拠地での強さを取り戻したいところだ。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)

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