過密スケジュールに苦しむF1チーム、3連戦の撤廃を強く求める「2連戦がずっと続く方がまし」

 F1チーム代表たちは、F1のCEOであるステファノ・ドメニカリとF1のモータースポーツ担当マネージングディレクターであるロス・ブラウンに対し、2022年以降のカレンダーには3週連続開催を組み込まないよう強く求めている。2020年、2021年と、3連戦が実施されてきたが、それはCOVID-19パンデミック下の特別な措置にすぎず、これが慣例になることに反対しているのだ。

 F1オーストリアGPの土曜朝、ドメニカリ、ブラウン、FIA代表者とF1チーム代表10人が会合を行った際に、この話題が取り上げられた。チーム側は、3週連続開催でレースチームを働かせることを続けるのは不可能であると表明した。

 コロナ禍でシーズンを成り立たせるため、昨年は3連戦が4回行われた。2021年カレンダーには、前半にフランス/シュタイアーマルク/オーストリアが3週連続で開催され、後半には3連戦が連続して行われるスケジュールになっている。

 フェラーリのマティア・ビノット代表は以前、こう述べていた。
「複数のトリプルヘッダーを行っていくことは不可能だと私は考える。この2年間は行ってきたが、もし私がメカニックたちに対して今後もそれが続くと言ったら、彼らは自分の人生を考えて、何か別の仕事をすることを選ぶだろう」

2021年F1シュタイアーマルクGP シャルル・ルクレール(フェラーリ)

 オーストリアGP終了後、ハースのギュンター・シュタイナー代表は、ビノットの意見に同調し、こう語った。

「当然のことながら、このレースが終わり、彼らは家に帰るのを楽しみにしていると思う」

「現在、COVIDの影響でカレンダーの変更について話し合っている。そのため、今こういう状況であることには理由があると言える」

「しかし、将来的にはトリプルヘッダーを行わないようにする必要がある。3連戦が1回あるより、2連戦が増える方がいい。3連戦が4回あるなら、ずっと2連戦が続く方がましだ。トリプルヘッダーは非常に辛いものなのだ」

 シュタイナーはまた、ロシア/トルコ/日本の3連戦について「これは今回よりもはるかに辛いものになるだろう。時差が激しいという要素もあり、時差ぼけに悩まされることになる」と懸念を示した。

「オーストリアでの1戦目の後、全員が月曜に休みを取った。皆が好きなことをできるよう、休みを与えることに決めたのだ。とてもいいことだった。だが、別の国に移動する場合、そういう余裕はなくなる。休日を飛行機の中で過ごすことになるのだ。転戦している者なら、何時間も飛行機に乗っていると休めないことは知っている」

2021年F1オーストリアGP ニキータ・マゼピン(ハース)のピットストップ

 2022年には、3連戦がなくなり、2連戦が増えることを、シュタイナーは期待している。

「トリプルヘッダーが行われると、スタッフは1カ月家に帰れなくなる。これは非常に大きなストレスだ。(来年に関して)FOMは検討してくれるはずだ。だが今は、COVIDの問題がある。カレンダーが確定せず、突然3連戦が行われることになった」

「しかし通常の生活に戻れば、(3連戦ではなく)2連戦が増えることになるはずだ」

 大きなリソースと人材を持ち、シーズン中にローテーションを組んでレースチームを運営することもある程度可能なビッグチームも、3連戦がなくなることを望んでいる。

 メルセデスのトラックサイドエンジニアリングディレクター、アンドリュー・ショブリンはオーストリアGP後にこう話した。
「トリプルヘッダーがタフであることは間違いない。本当に過酷だ」

「メカニックやエンジニアは、3戦の間、一日も休むことなく、働き続けているのだ。極めて多忙な日々を送っている。この3連戦が終わって本当によかった」

「次はシルバーストンでのホームレースだから、移動が必要なく、面倒なこともなく、皆が自分のベッドで眠ることができる」

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