栃木県内市町へのワクチン配分、希望の半数 接種ペースとの間にずれ

高齢者を対象に行われた新型コロナワクチンの集団接種=4月21日、小山市神鳥谷

 国から今月、栃木県内25市町に配分される米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンは約32万回分で、希望していた量の半数にとどまることが9日、県への取材で分かった。国からの供給が大幅に減少しており、県感染症対策課は「市町が早いペースで接種体制を強化してきた中、国とのずれが生じている」としている。県は同日、市町の接種計画に基づく必要量を確実に配分するよう国に要望した。

 ファイザー製のワクチンは、高齢者分として4月8日~今月4日までに県内に約118万8千回分が届いており、希望量の87.4%を満たしていた。今月5日~8月1日は主に64歳以下が対象で、県内では全25市町が約64万7千回分を希望したが、配分されたのは49.5%だった。

 ワクチンは対象人口や在庫の状況に応じて配分量が決まる。県内では日光、茂木、芳賀の3市町が希望した全量を供給される見通し。希望に対する配分量の割合は市町でばらつきがあり、最も配分量が多い宇都宮市は8万1900回分で55.1%。次いで多い小山市が2万5740回分で、73.3%だった。

 県内で希望量が2番目に多かった真岡市への配分は1万9890回分で、割合は16.2%で最低だった。同市の担当者は「配分が順調であれば予定を前倒しし、希望者全員の接種も見込んでいたが水を差された」とこぼす。

 接種計画の見直しも迫られており、大田原市は集団接種の予約受け付けを一時停止し、壬生町も人数制限を掛けるなどしている。

 こうした事態を受け、県は「現場から不安の声が県に届いている」として国に要望書を提出した。

 【ズーム】ワクチンの配分 市町の集団・個別接種に使われるのはファイザー製で、国が全国の自治体から希望量を聞き取り、半月程度先の供給量を都道府県に伝えている。モデルナ製のワクチンは大規模接種・職域接種で使用されているが不足しており、ファイザーで補う計画となっている。

新型コロナワクチンの配分状況

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