ソフト日本代表、練習試合でメキシコに大敗も… 宇津木HCが「気にしていない」ワケ

ソフトボール日本代表の宇津木麗華ヘッドコーチ【写真:荒川祐史】

報道陣に公開された練習試合2試合目で0-8と大敗した日本

2008年北京五輪に続いて金メダル獲得を狙うソフトボール日本代表が9日、群馬県高崎市の宇津木スタジアムでメキシコ代表と練習試合2試合を行い、報道陣に公開した第2戦は0-8の大敗を喫した。非公開の第1戦は逆に8-0で大勝。10日に第3戦が行われる。

巡り合わせが悪かったというべきか。報道陣に公開された試合は、日本代表にいい所が全くなかった。打線はメキシコの2投手の前に4安打で零封された。先発した藤田倭投手は7回を完投するも、2回に満塁本塁打を被弾するなど7安打4四死球8失点の不調。北京五輪で金メダル獲得の原動力となったエース・上野由岐子投手は2試合を通して登板しなかった。

宇津木麗華ヘッドコーチ(HC)は試合後、「久しぶりに他の国と試合がやれたこと自体が良かった。いい所も悪い所も出たので反省しながらやっていきたい。1敗は気にしていない」と淡々と振り返った。

日本代表は6月7日から今月14日まで、38日間にわたる強化合宿の真っ最中である。ここ1週間はパワーのある米国対策として、男子の日本代表レベルの投手に打撃投手を務めてもらって打撃練習に取り組んでいるという。宇津木HCは「男子のゆったりとした投球フォームに慣れて、女子のフォームに戸惑った所がある。これから調整していかないと」と苦笑。五輪本番へ向けて打線に問題はないと考えている。

一方、先発投手の藤田は主戦捕手の我妻悠香とバッテリーを組んだ1回から3回までに、2本塁打を含む6安打で8点を奪われたが、捕手が清原奈侑に代わった4回以降の4イニングは1安打1四球無失点に抑えた。

捕手の我妻が2試合とも出場「もっとメキシコの打者を見てほしかった」

宇津木HCは「第1戦は我妻と峰(幸代)の2人がマスクをかぶりました。我妻にもっとメキシコの打者を見てほしかったので(第2戦も)起用しました。相手打者はどこが強くて、どこが弱いのか、バットの振り方はどうかを見てほしかった。配球が悪かったとかではない」と説明した。

東京五輪のソフトボール競技は開会式2日前の今月21日に福島県営あづま球場で開幕する予定で、メキシコ代表とも22日の2戦目に同球場で対戦する。この日の練習試合は結果よりも、相手の特徴を把握することが最優先だったのだろう。とはいえ、藤田の調子自体は「今年は日本リーグでも良くない」(宇津木HC)と不安も残した。

北京以来3大会ぶりに五輪競技として採用されたソフトボール。1996年アトランタ、2000年シドニー、04年アテネは米国が3連覇していたが、08年北京で日本が悲願の金メダルを獲得した。東京五輪も世界ランキング1位の米国(日本は2位)が最大のライバルとなるのは間違いない。しかし、出場6か国が総当たりでリーグ戦を行い、1位と2位が決勝を行う方式だけに、他国との対戦も気が抜けない。決勝を含めると7日間で6試合を戦う過酷日程でもある。

日本代表メンバー15人の内訳は投手3人、捕手3人、内野手5人、外野手4人。アテネ、北京に続いて3度目の五輪出場で、今月22日に39歳となる上野が大黒柱であることに変わりはない。藤田と20歳の若手成長株・後藤希友投手はもちろん、野手を含めた全選手でいかに援護していけるかが鍵になりそうだ。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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