長崎県内融資 「創業後1年以内」大幅増 コロナで資金需要高に 日本公庫

創業前・創業後1年以内の融資実績、ソーシャルビジネス関連融資実績

 日本政策金融公庫(日本公庫)が2020年度、長崎県内で実施した創業融資は、前年度比27.9%増の316件、融資金額は同25.1%増の16億円だった。このうち、創業前融資が前年度比30.5%減少した一方、創業後1年以内の融資が同143.3%増と大幅に伸び、全体を押し上げた。
 日本公庫長崎支店によると、創業準備者がコロナ禍で経営計画の見直しや延期を余儀なくされた一方、創業後1年以内の企業は軌道に乗るまでの期間が長期化し、資金需要が高まったことが要因とする。
 業種別の創業前融資先は、飲食店・宿泊業を除くサービス・小売業などが前年度比18.1%減の68件。飲食店・宿泊業は41.3%減の27件。この業種で創業を目指す事業者が営業時間短縮の要請や外出自粛の影響を懸念したとみられる。
 一方、20年度の県内のソーシャルビジネス関連融資は、前年度比3.2%減の149件、総額は62.7%増の14億9300万円だった。このうち、介護・福祉事業者向けの融資は同50.5%増の143件、同124.1%増の14億7400万円で、融資の9割以上を占め、介護・福祉事業者にも新型コロナの影響が直撃した。
 ソーシャルビジネスは、地域が抱える社会課題をビジネスの手法で解決する事業。同支店は「対面サービスを提供する介護・福祉事業者はコロナ禍で利用者の減少に見舞われ、一時的に収支が悪化し、運転資金の需要が高まった」と分析した。

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